新潮文庫<br> 正岡子規(新潮文庫)

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新潮文庫
正岡子規(新潮文庫)

  • ISBN:9784101313573

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内容説明

西洋文明との出会いという衝撃により伝統文化が危機に瀕した明治日本。そんななか雑誌ホトトギスを舞台に、「写生」という新たな手法を創出、俳句と短歌に革命をもたらした子規。国民的文芸の域にまで高らしめ、俳句は今や世界的存在となった。幼時の火事体験からベースボールへの熱狂、漱石との交友、蕪村の再発見、そして晩年の過酷な闘病生活までを綿密に追った日本人必読の決定的評伝。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ペグ

65
「葉桜や 昔の人と立咄」好きな句です。人々が愛でる花が散り葉だけになった桜。散策の途中で出会った昔の人とは?下宿先でほのかに恋心を抱いた娘さんでしょうか?そんなに長くはお話ししていない雰囲気が漂います。けれど心の中には甘酸っぱい思いだけが残る。そんなことなど想像します。この本は本当に読んで良かった。ドナルド・キーン先生も素晴らしい!2023/03/04

pirokichi

26
とてもよかった!俳句と短歌に革命をもたらした正岡子規の評伝。弟子による子規への批判を以てしても、子規はますます魅力ある人物だった。子規が「汚穢山の如き中より一もとの花を摘み来りて清香を南風に散ずれば人皆其香に酔ふて泥の如し」と讃えた樋口一葉の『たけくらべ』と、「而して世人は俊頼と文雄を知りて、曙覧の名だに之を知らざるなり」とした橘曙覧の短歌を読みたくなった。本書はドナルド・キーン氏が英文で書いたものの和訳。子規の文章については現代語訳でも記されているので、読みやすい。2022/06/15

藤井宏

11
結核・脊椎カリエスのため30数年の短い生涯を終えた子規。「新しい時代にふさわしい文学表現は何か?」を追求し、当時の俳句、短歌の問題点を明らかにし、これらの詩歌にあたらしい息吹を吹き込んだ。ヨーロッパの絵画における印象派の登場と比べると、詩歌の変化についてすべてを理解することは難しかったが、なんとなく彼が目指したもののさわりは理解できたかな。彼の父親はアル中で早死にしたが、そこは士族階級出身。小さい頃から漢詩、漢文をたしなみ、英語の原著を読みこなす。2024/01/19

マフクン

3
ドナルド キーン氏による正岡子規の生涯に亘る論説である。角地幸男 訳とあるので 英文で書かれているが、子規の内面を描き、24歳の短い人生にも関わらず、現代詩歌の 礎を築いた明治の人物を掘り下げている。 註 の完成度にも、感心する。 全編を通して、感じるのは、人との出会い、 吸収力 が仕事を完遂させる基となり得る と謂う点である。 漢文、文語体、英文と並んではいるが、読みにくさは、全く無い。 日本を知悉したアメリカ人による正岡子規論は、深く感銘させられた。2022/06/02

Go Extreme

2
士族の子 哲学、詩歌、ベースボール 畏友漱石との交わり 小説『銀世界』と『月の都』を物す 従軍記者として清へ渡る 「写生」の発見 ―画家・中村不折との出会い、蕪村を評価 俳句の革新 ―伊予松山で雑誌「ほとゝぎす」を発刊 新体詩と漢詩 ―読者の心を動かす子規の詩歌 短歌の改革者となる ―『歌よみに与ふる書』十篇を世に問う 途方もない意志力で書き続けた奇跡 ―『筆まかせ』から『松蘿玉液』『墨汁一滴』へ 『病牀六尺』と『仰臥漫録』 ―死に向かっての「表」と「内」の世界 辞世の句 ―友人・弟子の証言、詩歌への功績2022/07/11

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