内容説明
本書は、現代の純文学からミステリーまでの11作品を題材に、物語をより深く楽しく味わうコツを、人気小説家がわかりやすく解説。小説を読んだ後、SNSで、作品の感想を書いたり、意見交換ができるようになる1冊です。
「冒頭で、私は、動物行動学者のティンバーゲンによる『四つの質問』を紹介している。これは、文学に限らず、映画にも美術にも通用する問いであり、何かを鑑賞したあと、人とそれについて話をしたり、自分で感想を書いたりする際には有効な着眼点となるだろう」(本書「文庫版によせて」より抜粋)
<本書で解説する作品>
●ポール・オースター『幽霊たち』
●綿矢りさ『蹴りたい背中』
●ミルチャ・エリアーデ『若さなき若さ』
●高橋源一郎『日本文学盛衰史――本当はもっと怖い「半日」』
●古井由吉『辻――「半日の花」』
●伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
●瀬戸内寂聴『髪――「幻」』
●イアン・マキューアン『アムステルダム』
●美嘉『恋空』
●フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』
●平野啓一郎『本心』
PHP新書版に、『罪と罰』『本心』の解説を新規追加し、再編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
105
「本の読み方」に続いて、それを実践に移すということでご自分の作品を含め11の小説の読み方をー若い人向けなのでしょうーわかりやすく丁寧に書かれています。選ばれている作品は私が殆ど読んでない作品(唯一読んでる作品は「罪と罰」)だったので参考にはなりましたが、古井由吉を除いてはあまり手が伸びないような感じがしました。それよりも第1部の「小説を読むための準備」の「小説を「四つの質問」から考えてみる」というところが新鮮に感じられました。2023/06/22
佐藤(Sato19601027)
66
「本の読み方 スロー・リーディングの実戦」に続く第2弾。小説を読む際、読者は登場人物に感情移入して、喜怒哀楽を共感したいと思っている。作者はテーマを持って小説を書き、世界観や思想を登場人物の言動を通して体現し、読者の知りたいという欲求に、主語と述語の組み合わせで応えていく。読書は複雑な世の中を生きる人間の心の奥底を圧縮して、濃密な時間とともに体験させてくれるツールだ。実践編では、様々なタイプの小説を切り出し、作者の技法を解説している。早く小説の世界に浸りたくなった。作者の技を堪能し、感情を揺さぶられたい。2023/09/13
優希
55
小説家という小説のプロによる小説の読み方のレクチャー本でした。流石に日々文章に親しんでいるだけあり、その読み方は深いものがあります。自分もただ読むだけではなく、作品の持つ魅力を掬い上げながら読書を楽しんでいきたいと思いました。2023/01/06
いっち
50
最近小説を読んでない。芥川賞候補作を読もうと思い、本書を手に取った。小説を読むリハビリ。小説の読み方より、書き方に役立った。著者は、ドストエフスキーが後世に多大な影響を及ぼしているのは、「どの作品にもアポリア(解決できない難題)が含まれているから」と言う。解決できない問題だからこそ、文学で取り組む。確かに理にかなっている。解決できない問題に取り組んでいる小説を読めば、何かヒントがあるかもしれない。だからドストエフスキーは読まれる。小説を書く際は、解決できない難題をネタにするところから始めるのが良さそうだ。2023/12/27
Kanonlicht
48
古今東西の小説を構造的観点で読み解く。話を進める述語と人物像を掘り下げる述語という2つの大きなベクトル、描写の濃淡によるスピード感の演出、単語に社会性や記号表現など、普段なにげなく読んでいる小説の文章に、構造的な効果がたくさん隠れていることを知った。たぶん実際には著者ほどその効果を考えながら書いている作家は少ないのではと思いつつも、こういったさまざまな手法を使って物語を紡ぐ小説家という人たちは改めてすごいと感じた。2025/03/13
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