氷の城

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氷の城

  • ISBN:9784336072504

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内容説明

私はこの誓いを絶対に忘れない。

雪に閉ざされたノルウェーの田舎町。11歳の少女シスの通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ためらいがちに距離を詰め、運命の絆で結ばれたふたりの少女が、それぞれの思いを胸に、森深くの滝の麓につくられた神秘的な〈氷の城〉を目指す……類稀な研ぎ澄まされた文体により、魂の交歓、孤独、喪失からの再生を、幻想的・象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。

凛とした切なさを湛えた、出会いと別れの物語。

【英ペンギン・クラシックス収録の20世紀世界文学の名作】
【1965年度北欧理事会文学賞受賞作】
記憶に残る〈映画の名セリフ〉をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

71
事前に情報がなかった為に1963年の作品だとは思いませんでした。読んでいる最中はどうしても悲しさが胸の奥で疼いてしまっていたけれど、シスが立ち直るのと同時に私も少し心が晴れました。ウンが居なくなってしまいシスの悲しみは想像を超えるものであったと思います。それでもウンのおばさんによってシスも段々と元のシスに戻る段階は読んでいても涙ぐましかった。また、舞台となるノルウェーほどではないにしろ私の住む札幌でも寒さに対する知識はある為に滝が凍って「氷の城」になっている様は容易に想像出来たのも良かったと思います。2022/07/21

帽子を編みます

48
ノルウェーを代表する作家です。二人の少女をめぐる出来事、途中までは超自然的なことが起こり氷の宮殿に囚われた少女が助かるのではと思っていました。いいえ、これは淡々としたノベル、劇的な出来事は起こらず終わります。少女期の過敏ともいえる繊細な心を思い出します、好きな子に声をかけるのも一苦労、ようやく家に招いたのに次の日にはどうしても顔を会わせられない。彼女の「あのこと」は死を願うことだと思いました、口に出すのは憚られるけどうっすらと希う気持ち。透明な氷の城、この圧倒的な存在感。胸に何かを残して本を閉じました。2024/11/17

くさてる

30
20世紀のノルウェー文学を代表する作家による63年の作品。少女ふたりの出会いと別れ、そこからの再生という流れなのだと思うけれど、正直言って、文化的にも心情的にもよく分からなかったり感情移入しにくいところも多く、だからこそ良かったという新鮮な感想を持った。分からないはずなのに、ノルウェーの冬の鮮烈なイメージと、こどもたちの凛とした心情の美しさがいつまでも心に残る。解説が内容の理解を助けてくれて良かったです。2022/07/26

ykshzk(虎猫図案房)

27
1963年の作品。今、再評価が進んでいるというノルウェーの作家の小説。学校の先生や、子どもと関わりを持つ多くのひとに読んでもらいたい。潮が自然と満ち引きするように、子どもの心には潮時というものがちゃんとあって、周りが無理に押したり引いたりすることで、それは狂ってしまう。深い絆が芽生えかけた友を失い、周囲との関わりに変化が生じた主人公に対する、クラスメイト達、親、先生の忍耐と愛のある距離感が実によかった。そんな周囲の眼差しと、自然の変化によって主人公の心は戻っていく。冬に出来た氷の城が春に瓦解するように。 2022/11/10

花林糖

26
図書館本。ノルウェーの極寒の冬、11歳のシスと転校生のウン。二人の少女が中心に動く物語。二人が仲良くなった翌日ウンが行方不明に。美しい文章と幻想的なノルウェーの冬の世界、少女達の心の動き、先も気になり殆ど一気読みでした。物語に登場する美しい氷の城を見てみたいです。2022/06/05

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