内容説明
密命を帯び、お鳥見役の主が消息を絶って一年余り。留守を預かる女房珠世に心休まる日はない。身近かに暮らす子供らの人知れぬ悩みを知って心くだき、その成長を見守り、隠居となった父の寂寥を慰め、組屋敷に転がり込んだ男女と幼子らの行く末を案じる……。人生の哀歓を江戸郊外の四季の移ろいとともに描く連作短編。珠世の情愛と機転に、心がじんわり熱くなる――お鳥見一家の清爽人情話、シリーズ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
72
長男次男、長女次女、それぞれの背負うものをちゃんと汲み取って、過不足なくフォローする母。すごいなあ。夫の苦難に皆が力を尽くす姿も感動的。こういう美しい家族の姿は時代物だからこそ成り立つものなのかもしれない。お祖母様の悲恋はいつかまた語られることがあるだろうか。2019/06/16
優希
22
密命のため、お鳥見役の主人が消息を絶ち1年が経つ中で、珠世さんが笑顔をたやさずにふるまえるのに憧れてしまいます。心が休まらなくても優しくいられるっていいですよね。子供たちが悩めば心から心配し、隠居した父。寂寥をさりげなく慰める姿にはじんわりきます。組屋敷に男女と幼い娘が転がり込んでも受け入れて、この先どうするかまで心配する珠世さん。人間出来てるなぁ。ここまで情愛の深い人はなかなかいません。でも、やっぱりどこかで気は張っていたんですね。戻ってきた夫を見たときようやく安心したのでしょう。本当に素敵なお話です。2014/03/21
あすか
18
お鳥見女房シリーズ第2弾。夫、息子への心配を隠し、えくぼを作る珠世がかっこいい!お役目とはいえ、久之助には辛かっただろうな・・・。久太郎の縁談、君江の恋も気になる!!2020/11/18
はつばあば
17
好きな人ができた時、「この人と私は赤い糸で結ばれているのだろうか・・」。と、よく思ったものだ。今の人達は「赤い糸」など知る由もないだろう。好きだから一緒にいる、嫌いだから別れる。いとも簡単にバッサリと。昔の人はカースト制度並に、好いても一緒になれなかったのだろう。お雛様に託した思いは悲しい。・・・うちのお雛様は箱から出られず淋しい思いをされてる。2014/04/03
ふう
16
『お鳥見女房』シリーズの2冊目。 娘君江や夫伴之助に起こる怖ろしい出来事にハラハラしながら読み進めました。そんな中でも今回も珠世は温かく聡明で、とくに母親として二人の息子と二人の娘に向ける眼差しは、若者の迷いや不安定さを愛おしく包み込む慈愛に満ちていて、親の一番の務めはこういうことだと思いました。移り変わる季節と江戸の風情、関わる人々の喜びと哀しみ。それらをやさしく受け止めて、少しでも良い方へと向かうよう願いながら笑顔を作る強さ。強いだけにどんなに辛かったことかと、最後の場面で目頭が熱くなりました。2012/03/08
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