内容説明
冬至の日のじゅうしぃ(雑炊)、正月に欠かせないなっと味噌、三月三日の女たちの祭りの重箱、折り目の日に食べるそうきのお汁、お墓の前の宴会・清明祭、祝いの席を彩るあんだぎい、一汁・白飯で肉親の野辺送り・・・戦前の沖縄・首里に生まれた著者が語る、記憶のなかの沖縄の味覚と、それを培った沖縄の心。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
30
大当たり本。知らない作家で、書店で中を見れない状態で恐る恐る買ったが、買って良かった。 たくさんの沖縄料理が、それぞれどのように生まれたのか、自身の思い出も交えつつまとめられているが、すぐ人に教えたくなる内容も多く、この本を携えて沖縄へ旅したので、食事の美味しさも倍加した。2022/07/07
かおりんご
20
なぜこの本を読みたかったのか、分からないけれど、面白く読みました。戦前や戦後間もない沖縄の食生活が垣間見られたのがよかったです。どれもおいしそうでした。食べたい!2023/03/19
あきあかね
17
季節毎の沖縄の多様な料理にまつわる想い出も面白いが、著者の数奇な人生にも興味をひかれた。明治の終わり頃の沖縄で生まれた著者は、進学で上京し新聞記者になり、その後戦争により沖縄には帰れなくなる。戦後、米軍施政下にある沖縄へ行く物資運搬船に乗り込み密航取材をするも、それが判明し、十四年間にわたって米軍は著者が沖縄に立ち入ることを禁止した。禁止が解けて久方ぶりに郷里に戻った著者が、那覇の市場で月桃の葉でくるまれた「天妃の前饅頭」に出会う話は、変わり果てた街にあって、子どもの頃の記憶を一瞬で喚起する味の記憶の⇒2023/11/27
ごいんきょ
15
沖縄の食文化が多少わかってきました2022/08/31
hitotak
9
大正生まれの著者が1980年代に刊行した、戦前の沖縄料理と暮らしについての本が復刊されたもの。当時は殆ど知られていなかったであろう沖縄料理について、調理の過程や材料、成り立ちとともに、亜熱帯の気候や大陸との交易、豚の常食など本土とは異なる暮らしぶりだった戦前の沖縄が書かれている。現在私たちが知っているラフテーは、料理店を営んでいた著者の妹が改良した味が広まったもので、昔はもっと噛み応えのあるものだったとか、くすり代わりの山羊汁、女だけの節句に食べる重箱料理など、知らないことばかりで面白かった。2022/08/28