内容説明
湘南を舞台に巨大企業グループを擁する一族の栄枯の美を描いた石原文学の真骨頂。急逝した三代目の残された夫人は複雑な関係の中で…。
湘南地方に広大な邸宅を構え、巨大企業グループを擁する北原家。手掛ける事業は鉄道から機械、観光開発にまで及ぶ。その三代目社長・勝彦が急逝し、残された妻の紀子は亡夫の異母兄弟・志郎と結ばれることでその血脈を繋いでいた。だが、縁戚で音楽評論家の野口による音楽事業の提案や、その甥・明からのレジャーの誘いなどによって、複雑に入り組んだ一族同士の関係に微妙な変化が起こりつつあった。その美貌で男たちの心を捉え、また並外れたピアノの才にも恵まれた紀子。彼女の人生にこれから待ち受けているものとは……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本命@ふまにたす
2
石原慎太郎の長編。正直、文学者、作家としての石原慎太郎がどのような人物かはよく分からずにいたが、こうやって実際に作品を読んでみることによって、その一端が垣間見えるような気がした。分量的にも比較的手に取りやすそうな一冊。2022/12/25
ヤエガシ
1
わりとストーリーがしっかりしているのに対して、情景や心情の描写があっさりしていて、いかにもな石原慎太郎作品でした。 もし石原慎太郎さんがもう少し若くて体力があって、もっと細かい部分を書き込めたら、大傑作になったような気がしました。2023/05/02
イコ
1
晩年の作品は実際いた人物の自伝的小説を読んだだけなので、まさか同じような文体で普通の小説も書いていたとは思わなかった。良く言えば無駄が省けただが、ここら辺の極地はアゴタ・クリストフとかヘミングウェイとかなのだと勝手に思っているがそこの領域まで行っていない。話としてもつまらない訳では無いがちと古臭く、昼ドラ的物語で、音楽にまつわる話でもあるので映像化を前提に考えたようなシナリオだったな。映像化したら真価を発揮しそう。2022/06/26
東京湾
0
湘南を拠点に一大グループを築く北原一族の栄華と軋轢、そして喪失。石原慎太郎が描く"華麗なる一族"。北原家を継いだ志郎の妻・紀子を軸に繰り広げられる男たちの計略、瀟酒な暮らしに隠された欲望と虚無が、やがて決定的な破局へ導かれる。淡々とした人間ドラマに魅せられた。2022/08/22
Taeko Sugiyama
0
気がつけば若き日の石原裕次郎を主役に映画を観ているように読んでいた。意外な展開意外な顛末に驚く。がこの活き活きした物語りを御歳八十を超えて創作されていることにいったいどれほど物凄いエネルギーの持ち主だったのかと改めて思わされた。ご冥福をお祈りします。2022/08/19




