内容説明
日米友好基金賞(アメリカ文学部門)受賞。サイバーパンク・ムーヴメントの生成から発展的解消までを、インタビューや会見記、著者自身のサイバーパンクへの参加など徹底したフィールドワークを行うことで、ありありと描き出し、時代の雰囲気までも閉じ込めた第一級のドキュメント。W.ギブスン、B.スターリングとの対談を増補。
目次
はじめに
序 サイバーパンク・グラフィティ
1 おれたちはポップ・スターだ!──ブルース・スターリング
2 ある女王の伝説──エレン・ダトロウ
3 サイバーパンクと呼ばないで──ウィリアム・ギブスン
4 ポスト・ニューウェーヴの岸辺に──チャールズ・プラット
5 鏡眼鏡綺譚──スティーヴ・ブラウン
6 ミラーシェードの洗者ヨハネ──ジョン・シャーリイ
7 メガロポリスは、黄昏──ロブ・ハーディン
8 あなたもアメリカSFが書ける──ルイス・シャイナー
9 黄金時代よ永遠に──デイヴィッド・ハートウェル
10 サイボーグ・フェミニズム宣言──サミュエル・ディレイニー
11 世紀末効果──ラリイ・マキャフリイ
あとがき
ボヘミアン・ラプソディ電脳篇──増補新版へのあとがき
二〇二一年版補章(1)
対談 見慣れた風景の満ちた日本で──映画や新作を語る ウィリアム・ギブスンVS巽孝之
二〇二一年版補章(2)
対談 SFをゆり動かす──テクノロジーを批判する自分たち自身がすでにテクノロジーの産物なのだ ブルース・スターリングVS巽孝之
サイバーパンク年表
サイバーパンク書誌目録
インデックス
初出一覧
著者紹介
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ISBN vs ASIN vs OPAC
2
レトロフューチャーの名の下に蘇ったサイバーパンクは、だがしかし、2022現在の現代性によって再評価されるべきだが、しかし、人間の定義自体が幻想に過ぎなかったことにうすうす皆が気付き始めている2022現在、サイバーパンクは新たに語られなければならな…………でもさ、いやよくわかんないけど、あの、ディックってサイバーパンクじゃないの? SF野郎の間ではそうじゃないことになってるの……? もしくは「ムカシ」だから……? 2022/11/21
マサトク
1
三十年以上前の本が、去年になって増補新版ができ、電子書籍化されていたことをまず喜びたい。基本はサイバーパンク・ムーブメントの中心人物たちへのインタビュー。今となっては若さゆえのテンションかな、と思える発言もあるけど、それも時代の熱気を感じられて良い。巻末資料を読むと、日本語訳されたものの少なさに驚いてしまう。ギブスンやスターリングらが何を思い作品を書いていたのかを読めたのは良かった。SFを分析=脱構築するには、通常の文学的物語の研究とはまったく異なる作業が必要というディレイニーの立場には疑問もあるが。2022/12/10
Mits
0
この当時のアメリカSFファンダムの実録ルポだ。どうも、サイバーパンクってのは、ジャンルとかスタイルじゃなくて運動、というかパフォーマンスだったのな。それで、その時代の尖がった作家たちがこぞってそう標榜したからそうなった。なるほど。そして、そういう経緯だからすぐにしっちゃかめっちゃかになってその境界なんかどこにあるのかわからない。 個別の作家のエピソードとしてはディレイニーのものが一番面白かった。2022/11/09