内容説明
それは、“ただの留学”ではなかった――。
今日の沖縄・アメリカ・日本の関係にどう影響しているのか。
〈復帰50年〉のいま、初めて語られるライフストーリー。
ジョン カビラ氏(ラジオ・テレビパーソナリティー)推薦!
「戦敗れ、支配されるも、懐に飛び込んで学んだ先には何があったのか?」
岸 政彦氏(立命館大学教授)推薦!
「復帰前の沖縄からアメリカに渡った留学生たちの、複雑で豊かな語りに耳を傾けよう」
*****
1945年から27年間、米軍統治下にあった沖縄で、米国陸軍による留学制度によってアメリカ留学=「米留」した1000人余りの若者たち、「米留組」がいた。
沖縄戦を生き延びた彼ら、彼女らはどのような思いで留学を志し、戦後沖縄の社会形成においてどのような役割を担ったのか――。「米留二世」でもある著者が丹念に聞き取った、留学経験者たちの語り。
「本土復帰」50年を経て、初めて明らかになる当時の米国の思惑や「米留組」の葛藤。貴重な証言と一次史料をたどることで、沖縄の今とこれからを考える。
目次
はじめに ――戦後沖縄「米留組」と呼ばれた人々
第一章 「米留」制度の創設と実施
第二章 「米留組」の戦後とアメリカ留学への道のり
第三章 沖縄の留学生が見たアメリカ
第四章 沖縄への帰郷――「米留組」の葛藤と使命感
第五章 〈復帰五〇年〉「米留組」が遺したもの
おわりに ――もう一つの「米留」
あとがき
主な引用・参照文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
69
アメリカ統治時代に米国留学した人物として思い出すのが大田昌秀で、本書でもかなりのページを割いてインタビューが紹介されている。著者の父親も含め、かなりの数のインタビューと、アメリカに残る原史料に当たってのオーラルヒストリーであり、テーマ立てして構成されているが、語られた内容を歪めることなく、読み手の多様性に耐える仕事となっている。その個々の語りから、占領下・統治下の沖縄の人々の思いが滲み出るようだ。沖縄に親戚がいて、その時代の話も聞いたことがあるが、共通点も多く、あの時代の沖縄の実相を感じることができた。2024/06/25
二人娘の父
11
米国統治下、沖縄の若者を対象に政策的な意図をもってつくられた「米国留学制度(米留)」。元知事・大田昌秀がその一人であることは知られているが、全体像については、ほとんど知られていないのではないか。著者は父が「米留組」であったこともあり、問題関心を持ったとのこと。米国統治下とその後の沖縄史をの欠けたピースを埋める貴重な研究。もっと生々しい語りを本人の言葉として聞きたかった思いもあるが、新書では限界もあるだろう。今後に期待したい。2023/01/14
nishiyan
10
米国統治下の沖縄で米軍資金などを元に実施された米国留学制度を利用した人たち「米留組」の動静を追うとともに、その制度に隠された米国の思惑を紐解いた本書。本土復帰50年を迎え、このような意欲的な研究成果が新書で読めるのは嬉しい限り。永続的な統治を考える上で親米派の育成は必要で、この制度ができた点は頷ける。留学生たちは個々に複雑な感情を抱えており、米国体験を謳歌したもの、さらなる矛盾を抱えたものと千差万別で帰国後は米国統治下での進路にも影を落としている点は興味深かった。各個人を掘り下げた続編が出たら嬉しい。2022/05/29
シュークリーム・ヤンキー
5
米国統治下の沖縄で行われた、米国によるいわば政治政策的な留学制度について、主に留学生のライフヒストリーをまとめたもの。戦前・戦中の日本でマージナルな位置に置かれ、凄惨な沖縄戦を経験し、そして今度はアメリカのマージナルな立場として本土留学…。その立ち位置が、特に人種や国家という観点で、留学先での経験・見聞を複雑で豊かにしたことを実感した。インタビュイーの留学時期がそれぞれ異なっており、かつテーマごとに区切られているため、「ライフヒストリー」としては不完全燃焼感があったかも。(ないものねだりですが。。)2022/05/28
きんさん
2
「米留組」の人たちへのインタビューでそれぞれの様子を綴った本書。日留との違いや、併用している人物もいたことを知れてよかった。沖縄の本を読んでいて思うのは、沖縄はやはり「矛盾」の地であり、それは決して悪いことではなく矛盾を受け入れ矛盾をそれぞれの仕方で共生したり反抗したりする場所なんだと思う。本書にもそれがよく描かれていたと思う。2025/05/28
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