空白小説

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空白小説

  • ISBN:9784847071416

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内容説明

シリーズ累計50万部突破!
『54字の物語』の著者が贈る、5分で読める49話

『空白小説』は、書き出しと結びの文だけがはじめから決まっているショートショート集です。
その間の空白をどう埋めるかで、物語は予想できない方向へと展開し、書き出しと結びのもつ意味は大きく変わります。
あなたは「空白」の展開を予想できますか?

○吾輩は猫である  →  名前はまだない
○犯人はこの中にいる  →  私がやりました
○昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました  →  いつまでも幸せに暮らしました
など

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(本文より)

○吾輩は猫である→名前はまだない
吾輩は猫である。誰よりも自由な猫である。
家の塀にひょいと飛び乗り、ふわぁとあくびをする。そこへひとりの少女がやってきた。少しだけ撫でさせてやろうと「にゃあ」と声をかける。しかし少女は「ひっ」と悲鳴をあげ、どこかへ逃げていった。
しばらくすると怪訝な顔をした人間の大人たちが集まってきた。あっという間に屈強な男たちに取り押さえられ、吾輩は眠らされてしまった。
目を覚ますと、吾輩は薬品の匂いのする部屋にいた。周りで白衣を着た男たちが首をかしげている。
「自分を猫だと思い込んでいるようです」
「見た目は中年の男だぞ」
「ですが実際に尻尾まで生えてきています」
「海外でも最近似たような症例が増えているとか」
「病名は?」
「発見されたばかりの病気だ。名前はまだない」
(『自由』より要約)

※本書は広い世代の方々にお読みいただけるよう、漢字にはルビを多めにふっております。


【著者プロフィール】
氏田雄介(うじた・ゆうすけ)
平成元年、愛知県生まれ。企画作家。株式会社考え中代表。
著書に、1話54文字の超短編集『54字の物語』シリーズ(PHP研究所)、世界最短の怪談集『10文字ホラー』シリーズ(星海社)、当たり前のことを詩的な文体で綴った『あたりまえポエム』(講談社)、迷惑行為をキャラクター化した『カサうしろに振るやつ絶滅しろ!』(小学館)など。
「ツッコミかるた」や「ブレストカード」など、ゲームの企画も手がける。


小狐裕介(こぎつね・ゆうすけ)
小説家。
2017年「ショートショートの宝箱」(光文社)に『ふしぎな駄菓子屋』が掲載され作家としてデビュー。
幼い頃から物語を作り続け、漫画制作・映画製作などを経て2010年頃からショートストーリーの執筆を開始。
著書に、「3分で“心が温まる”ショートストーリー」「3分で楽しい! “動物”ショートストーリー」(共に辰巳出版)などがある。
ブログで毎日、ショートストーリーを公開中。


水谷健吾(みずたに・けんご)
1990年、愛知県生まれ。作家、脚本家。
原案を担当した漫画『食糧人類』(講談社)は260万部を突破。
現在はショートショート小説、チャットノベル、音声コンテンツ、舞台脚本を中心に活動。
舞台『捏造タイムスリップ』が2019年佐藤佐吉優秀脚本賞、舞台『つじつま合わせのタイムパトローラー』が2020年劇団EXPO最優秀作品賞を受賞。


【イラストレータープロフィール】
小林ラン(こばやし・らん)
神奈川県横浜市生まれ。イラストレーター・アーティスト。
やわらかなフォルムと鮮やかな色彩、時には不思議なニュアンスを用い、ワンダーな世界を描く。
これまで仕事をした媒体は、書籍、雑誌、広告、ウェブサイト、動画のイラストレーション制作など。
オリジナルの作品展示も定期的に行なっている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

momogaga

37
出だしと結末は、決まって言葉で、その間をどう展開するのか、作者の力量が問われる小説でした。正しく小説の内容を理解できたか不安が残る作品が多々ありました。1話あたり4分程度で読めるのも、考えものです。2024/07/27

*+:。.もも.。:+*

18
始めと終わりは決まってるが間は全然違う話。どれが誰の作か分からないけど合作なのかな。ショートショートあるあるなのかゾッとする話が多い。心温まる話ももう少しほしいところ。2023/04/18

きたさん

12
書き出しと結びが決まっている、という他は割と普通のショートショート集。ただその書き出しと結びが有名なフレーズであるので一定のイメージが湧いてきやすいし、そのイメージを覆すような内容にすることである程度面白さが保証されていたのかな、と思います。内容はベタなのに、「犯人はこの中にいる」で始まる「悲鳴」が好きらしく、思わずニヤニヤしてしまった。2022/06/03

まつどの理系こうし(まりこ)

10
「吾輩は猫である。___名前はまだない。」「地球は青かった。____人類にとっては大きな一歩である。」「七時になりました。_____今日も元気に行ってらっしゃい」など、決まった文頭から、決まった文末へ向かうための間を埋めてお話を作るショートショート。つくりが面白いのでサクサク読めました。SFっぽいものが多かったのは何故でしょうか。いくつかぞくっとくるものもありました。しかし、印象に残るようなお話はそんなに多くなかったです。同じようなルールのもとでお話を書くというのも楽しそう。2022/08/15

Te Quitor

9
「面白さがある程度担保された」優秀な小説。有名な二つのフレーズ(例えば『吾輩は猫である』『名前はまだない』)、その行間に、物語を生み出した短編集。有名な言葉たちが「書き出し」と「締め」を担っているから、頭の中にイメージが湧きやすく、助かった。頭にこびりついている固定観念、イメージを崩すことの面白さがある。一つの言葉の捉え方は、作家によって全く違うんだ。物語に感心するという楽しみ方ができるのが良いな。でも、なんか、小説というより「大喜利」のようだ。表紙がとてもお洒落だね。2022/08/13

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