内容説明
土方歳三、中村半次郎、小栗忠順、武市半平太……。博物館学芸員資格を持つ歴史好きタレントとして活動中しているほか、歴史番組・イベント・講演会等で講演やMCとして多数出演している著者が、愛してやまない幕末の侍たちを、実際にその地を巡り、見て聞いて感じたことなどをもとに渾身の力で描いた連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
119
本作が初小説?たしかにちょいと硬さは感じるけど随分手練れてますね。土方、中村半次郎、小栗忠順、武市半平太。倒す者たちと守る者たち。混沌をきわめる幕末、正義は各々の胸の裡にあった。彼らの傍らで最期を見つめた者たちの悲哀。なんとも叙情感溢れる筆致。淡く切ない映像のように眼前にひろがります。いやぁ、素敵でした。次作、また読みたいです。2022/06/19
ともくん
30
幕末の世に、志半ばに散っていった者たち。 それぞれに、己が正しいと信じ、志を遂げたいと願う。 斬られる者と斬る者。 楯突く者は、次々斬ってゆく。 世を変えるという、大義名分の元に。 一体、誰が正しいのか。 現在を生きる我々にも答えは、出せないのかもしれない。2024/11/17
ベック
5
幕末に活躍した四人を描く四編の短編集。描かれる時代が時代だけに、そこには大きく変わる歴史の波に翻弄される人々が描かれる。正義や忠義や道義が悔恨や裏切りや翻心と並列に行われる理不尽な世を大志の元に生き抜いた人々。ゆえに、そこには歯を食いしばり砂を噛むような断腸の念がほとばしる。2022/05/31
田中峰和
4
幕末の英雄列伝。中村半次郎は組織の論理で先生と慕う軍学者赤松小三郎を斬殺する。4つの短編中、小栗上野介のみ上級旗本で身分が高い。幕府からポーハタン号で渡米した経験もあるインテリ。15代将軍慶喜に逆らい、要領のいい勝海舟に職を奪われた後、群馬の権田村に蟄居後、反逆の疑いで養子の又一とともに斬首される。3人目の武市半平太は低い身分から上士に出世するが、山内容堂お気に入りの吉田東洋暗殺の疑いで切腹させられる。最後に土方歳三は農家の生まれだが新選組副局長に昇るが、函館戦争で戦死。部下の主税の軍記が感動を呼ぶ。2024/06/18
かえるー@いくさ人
4
学芸員の資格を持つ歴史系アーティスト「さくらゆき」のアルトご担当、そしてメディア等でのマルチな活躍をされている小栗さくらさん待望の連作短編集です。 描かれる人物は倒幕(中村半次郎&赤松小三郎)・佐幕(小栗又一&忠順)・倒幕(武市半平太)・佐幕(立川主税&土方歳三)とバランス良く配置されており、カバーイラストも美しく行間もあって目に優しい装丁となっています。 登場人物の口から発せられる台詞の描き方もさることながら、風景を感じさせる描写や心象風景を感じさせる描き方が非常に優れていて作品に没頭出来ます。2022/05/27
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