内容説明
川端康成、三島由紀夫ら若き日に仰ぎ見た先輩や、吉行淳之介、辻邦生、遠藤周作ら親しい作家たちとのエピソード。思春期に読みふけった芥川龍之介、トーマス・マンの思い出。そして偉大な父・斎藤茂吉の横顔。北文学の原点となる作家や人物との交流をユーモラスに綴る。〈エッセイ〉佐藤愛子〈解説〉阿川弘之
感想・レビュー
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クプクプ
73
私は北杜夫の作品は、かなり読んだつもりでしたが、この本を読んで、様々な気づきがありました。ムツゴロウこと畑正憲氏のページには、自然と生きものを愛するムツゴロウさんだったが、文章も抜群に上手かったと書かれていて、その時代が懐かしかったです。北杜夫は芥川龍之介にも興味を持っていて、精神科医の立場から、もっと長生きしてほしかったと言っていました。一番、面白かったのは、夏目漱石文学紀行で、北杜夫が松山と草枕の舞台の熊本を訪れ、その旅についてボリュームのある文章を書き、読み応えがあり、さすが紀行文の名手と感じました2023/11/02
佐島楓
65
主に吉行淳之介氏とのエピソードが読みたくて入手したのだが、三島由紀夫・川端康成両氏などとの交流も書かれ、面白く読んだ。真面目な顔つきでこちらが噴き出してしまいそうなことをお書きになったかと思えば、硬い文学論をきっちりとぶつあたりが変幻自在ですごいかただったんだなと改めて感じた。2022/04/27