内容説明
第14回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作!
マスコミはおろか関係者すら姿を知らない現代芸術家、川田無名。ある日、唯一無名の正体を知り、世界中で評価される彼の作品を発表してきた画廊経営者の唯子が何者かに殺されてしまう。犯人もわからず、無名の居所も知らない唯子のアシスタントの佐和子は、六億円を超えるとされる無名の傑作を守れるのか――。美術市場の光と影を描く、『このミス』大賞受賞のアート・サスペンスの新機軸。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
184
『守らなければならない、無名の作品たちを。あるべき姿で展示し、あるべき場所に委ねたい』。そんな思いの先に唯子の死に隠された真相を追い求めていく主人公の佐和子。この作品にはそんな佐和子が解き明かしていくミステリーな物語が描かれていました。『アート』に関するあんなこと、こんなことが綴られていく中、面白く読み進めることのできるこの作品。そんな物語に”ミステリー”の要素が奥行きを出すこの作品。“このミステリーがすごい!大賞”受賞が伊達ではない、“美術ミステリー”の面白さを再認識させてもくれた素晴らしい作品でした。2025/09/17
nobby
140
この作家、多分僕は好きだ♪姿見せぬ正体不明の現代芸術家 川田無名。ただ一人その所在を知るという画廊オーナー唯子を殺したのは誰か?はたして無名は存在するのか?絵画に疎い自分は、これまで超有名画家を扱った小説をギリギリ楽しんできた気がする。だが、今作は全く架空の人物を中心にしながら、丁寧で彩り鮮やかな映像が思い浮かばせるのが素晴らしい!難解なミステリーを味わうのでなく、自然と読まされるままアートの世界にいつぞや惹き込まれている感覚が絶妙。事件の真相はラストでほぼ全容語るのみだが、この作品の魅力はそこじゃない!2018/11/14
ちょこまーぶる
104
楽しんで終えた一冊でした。アートの売買に纏わるミステリーって初めてのような気がします。アートに関する知識は皆無だから、何故にあの作品にこんな値が付くの?と思って生きてきたけど、読後はちょっぴりですがシステム?が判ったような気がしています。内容的には、割と早めにこの人が怪しいなぁ~と想いながら読み進めて、オークションの場面では値の高騰合戦にドキドキ感と誰だ?という疑問で一杯になり、ラストはやっぱりね・・・と納得したという感じでした。純粋な気持ちでアートを愛でる生活もイイかもと思ったけど、先立つものが無い。2021/08/22
おかむー
95
現代アート×ミステリというつもりで読んでみたけれど、むしろ“アートビジネス”にまつわるサスペンスといった趣きでしたね。『もうすこしです』。一切姿を見せないアーティスト・川田無名、彼と唯一の世間の接点となっていた画廊経営者・唯子が殺され、唯子のアシスタント・佐和子に彼の作品の行方が託される。■作家が直接制作しなくとも認められる一部の現代アートだとか、作品の価値をコントロールする美術市場のからくりは興味深い。ただ主人公である佐和子に当事者感がなかったり殺人の動機に意外性がなかったり、全体に“弱い”印象ですね。2017/03/19
夜長月🌙新潮部
84
東京藝大卒現役キュレーターが描くアートサスペンス。絵の価値を上げる仕組みが説明されていて新鮮でした。アートには2つのマーケットがあり、作家から直接買うのがプライマリーマーケット。その他はセカンダリー。価格はプライマリーが一番安く、転売されるにつれ値段は上がっていきます。本の逆。個人よりも美術館で購入される方が世間に見てもらえて良いかと思いきや個人の方が展示会に貸し出してもらえやすく結果的に多くの人の目に触れます。また、現代アートではそのアイディアに作家固有のものがあれば作るのは他の人でもというのには驚き。2020/06/05
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