内容説明
記憶を失っていく母親の日常生活を2年半にわたり記録し、脳科学から考察。アルツハイマー病になっても最後まで失われることのない脳の能力に迫る。NHK「クローズアップ現代」など各メディアで話題!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
140
素晴らしい本だと思う。認知症のお母様の症状を踏まえて、海馬、大脳皮質、後頭頂皮質、大脳辺縁系の役割など脳科学の基本が見事に説明されている。記憶とは何か、脳内の情報処理とは何かというシステムもよく理解できる。その上で、著者は、「感情こそ知性である」と言う。海馬の萎縮により認知機能は衰えても、社会的感受性や感情が残るお母様と接しながら得た確信である。本書の感動は、冷静な観察や分析とともに、介護の苦悩の中でも、お母様に寄り添い、人への優しさに溢れた著者の人間性にある。こういう科学者を、私は心から尊敬する。2023/02/08
レモングラス
84
認知症について書かれた本の中で、これほど心に沁みた著作はなかったと思うほどに、今後も読み返していきたい一冊です。著者の65歳のお母様が認知症に。医者ではなく脳科学者からの考察は、母が認知症になるはずないから始まります。掃除も料理も完璧だった母が何もしないでソファにうずくまっている。何かができる、できないという視点で母を見ると母が母でなくなっていくようで怖いという感情。だが、母の反応の中にはまだ、変わらぬ母の姿も。人は、以前できたことができなくなったとしたら、それは「その人らしさ」を失うことになるのか‥‥。2026/04/24
rico
82
著者のお母さまの変化は、身近にいた認知症患者のそれを思い起こさせる。ああ、あの行動は、あの言葉は、こういう意味があったのかと、苦いものがこみあげる。それでも、記憶が失われても、感情に根差す知が確かにその人らしさを形づくっているということは救い。それは人生の集大成の姿。その人らしさを維持することは簡単ではないし、誰もが著者のようにできるわけではない。でも、脳科学者としての知見と冷静な分析、娘としての揺れ動く想いの両面からの記録である本書は、認知症を理解し向き合うための、稀有な一冊であることは、間違いない。2023/07/20
シリウスへ行きたい
74
認知症は、人の性格が変わる。悪い、険悪な方向に変わる。寂しい限りだ。陽がみっぽっくなるし、訳のわからないことをする。とても対応できない。相続めあてに、病院やホームに任せぱなししながら、会ったときだけ、いい顔をする息子もいる。仕方ないけど。2026/03/23
ホークス
50
元本は2018年刊。脳科学者の著者は母親の認知症をすぐに認められず、根拠なく「そんなはずはない」と考え、診断が遅れたと後悔する。本書は発症から2年半の日々の気づきを元にしている。母親の言動を理解できず感情的になってしまう事もあるが、家族としての触れ合いを通し、認知症を改めて探究する。母親に負担をかけず研究する事は容易でなく、学びの厳しさを感じた。人は認知機能が衰えても、役に立ちたい、迷惑をかけたくない、幸福でありたいという思いは深い所で維持される。判断や理性の元は感情であり、「その人らしさ」は長く保たれる2024/10/20
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