河出文庫<br> 脳科学者の母が、認知症になる 記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?

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河出文庫
脳科学者の母が、認知症になる 記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?

  • 著者名:恩蔵絢子【著】
  • 価格 ¥759(本体¥690)
  • 河出書房新社(2022/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309418582

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内容説明

記憶を失っていく母親の日常生活を2年半にわたり記録し、脳科学から考察。アルツハイマー病になっても最後まで失われることのない脳の能力に迫る。NHK「クローズアップ現代」など各メディアで話題!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

129
素晴らしい本だと思う。認知症のお母様の症状を踏まえて、海馬、大脳皮質、後頭頂皮質、大脳辺縁系の役割など脳科学の基本が見事に説明されている。記憶とは何か、脳内の情報処理とは何かというシステムもよく理解できる。その上で、著者は、「感情こそ知性である」と言う。海馬の萎縮により認知機能は衰えても、社会的感受性や感情が残るお母様と接しながら得た確信である。本書の感動は、冷静な観察や分析とともに、介護の苦悩の中でも、お母様に寄り添い、人への優しさに溢れた著者の人間性にある。こういう科学者を、私は心から尊敬する。2023/02/08

rico

76
著者のお母さまの変化は、身近にいた認知症患者のそれを思い起こさせる。ああ、あの行動は、あの言葉は、こういう意味があったのかと、苦いものがこみあげる。それでも、記憶が失われても、感情に根差す知が確かにその人らしさを形づくっているということは救い。それは人生の集大成の姿。その人らしさを維持することは簡単ではないし、誰もが著者のようにできるわけではない。でも、脳科学者としての知見と冷静な分析、娘としての揺れ動く想いの両面からの記録である本書は、認知症を理解し向き合うための、稀有な一冊であることは、間違いない。2023/07/20

雪月花

47
最近、テレビでも時々お見かけするようになった恩蔵絢子さんが、脳科学者の立場からわかりやすくアルツハイマー型認知症のお母様との日々を綴られ、そのメカニズムを書いている。認知症になっても、できることが減っていっても、やれることはあるし、こちらの接し方でも変わることがわかる。そしてその人らしさも失われるわけではない。認知症になっても感情の豊かさは残り、その人らしさも失われないということは救いであるし、私も認知症の母と接する上でそれは日々感じているので、その感情を大切にして接していきたい。保存本。2022/11/29

sofia

39
脳梗塞からの後遺症として認知症が進んできている母とは少し症状が違うが、興味深く読んだ。感情こそ知性である。認知症になっても「その人らしさ」は残っている、は私も感じるところである。私が帰ったらすぐ私が来たことを忘れている母ではあるが、会えるときは会いに行こう。いまだに「ふとんはちゃんと用意しているか」と何度も父に心配している。母らしさは残っている。2023/02/09

pirokichi

34
私の母も認知症のため縋るように読んだ。私の母の方がずっと進行しているが、著者のお母様の日常の記録と脳科学者としての考察はわかりやすく参考になったし、救いがあった。幼児のように目が離せない母、身だしなみに無頓着になった母、突然怒鳴り出す母、私のことを忘れてしまった母。急に歌大好きになり歌謡番組を見ながら楽しそうに歌っている母、家事は全くできなくなったのに魚を捌くのをお願いしたらとても上手だった母。母は母でなくなったと、悲しく思っていたが、母の行動をあらためて思いだすと、母はずっと私のあの母なのだと思った。2023/01/06

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