岩波科学ライブラリー<br> クオリアはどこからくるのか? - 統合情報理論のその先へ

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岩波科学ライブラリー
クオリアはどこからくるのか? - 統合情報理論のその先へ

  • 著者名:土谷尚嗣
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 岩波書店(2022/04発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000297080

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内容説明

意識と脳の関係性の謎に立ち向かうお膳立ては整いつつある! これまでの研究における発展と限界,トノーニによって提唱されて意識の理論として有望視されている統合情報理論,そして著者が取り組んでいるクオリア(意識の中身)を特徴づける研究アプローチを解説.意識研究の面白さ,研究者が抱いている興奮を伝える.

目次

はじめに┴1章 意識って科学の対象なの? クオリアって何?┴意識の問題は面白い!?┴クオリアって一体何?┴意識を研究するとはどういうことか?┴意識研究のインパクト┴意識の研究の難しさ┴動物・植物・ロボットに意識はあるのか?┴2章 意識はどうすれば研究できるのか?┴意識やクオリアにはどういう特徴がある?┴これまでのアプローチ 心理物理学と脳科学┴脳に損傷を受けると私たちの意識やクオリアはどうなるの?┴患者の報告・行動・脳活動 すべてがそろった総合的な証拠が最強┴盲視患者の詳しい研究┴行動や脳活動で明らかになる盲視の証拠┴サルも盲視を経験するなんてことがある?┴サルが盲視であると証明できるか?┴無意識と意識を区別する方法なんてある?┴3章 目から脳へ、脳から視覚意識へ┴目の構造はどのように視覚意識をカタチづけるのか?┴網膜で受けた光の情報はどのように脳に伝わるのか?┴ニューロンの守備範囲 「受容野」とは?┴目からの情報を受け取る脳部位 一次視覚野(V1)とは?┴4章 意識の変化に合わせて変わる脳活動┴意識に伴って変わる神経活動(NCC)とは何か?┴NCCを見つけるためのパワフルな実験 両眼視野闘争┴サルでの両眼視野闘争の研究┴5章 意識と注意┴注意とは何か?┴意識と注意はどう違う? それとも同じ?┴意識と注意は別々に操作できるか?┴意識と注意は違うなんていう証拠はあるの?┴注意のことを考えた上で、もう一度問い直す クオリアって何もの?┴6章 意識の統合情報理論┴意識の理論は必要か?┴意識の理論があると何が嬉しいの?┴統合情報理論┴統合情報理論が重要視する意識の5つの特徴┴意識の情報性┴意識の統合性┴統合情報量とは何か?┴意識の排他性┴統合情報理論に基づく意識メーター┴意識レベルの計測┴統合情報量の計算は可能か?┴統合情報理論によって脳に損傷を受けた患者の意識を説明できる?┴意識の境界は計算できるのか?┴分断脳患者の意識と行動┴統合情報理論は分断脳患者をどう説明するか?┴7章 意識研究の最前線┴統合情報理論はクオリア問題にどう答えるの?┴これまでのアプローチの限界とそれを乗り越える新しいパラダイムとは?┴クオリア構造と情報構造の関係性を明らかにする!┴情報構造を可視化する┴クオリア構造を明らかにするために、大規模にクオリア同士の「関係性」を測る!┴クオリア構造アプローチで、私とあなたの青クオリアは同じかどうかわかるか?┴クオリア構造と情報構造の関係性を明らかにする利点┴視覚と聴覚のつなぎ変え実験┴意識研究と社会の関わり┴おわりに┴参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

54
著者が、甘くないぞと念を押しているのに、恐ろしく難問でありながらも、読み終わると「解決への見通しがありそうだ」という感じがしてしまう。まず2~3個のニューロンの状態を考える例からイメージさせるが、実際の脳は860億の細胞があるらしい。解決までの道はまだ遠いのか? しかし私の見る青のクオリアの正体は不明でも、私とあなたの青が同じかどうかの判断への道があるとは、着実に科学が進歩していることを示している。取りつく島はあるのだ。〈私〉という謎への哲学がサイエンスの言葉で語れる日は、意外に近未来なのかもしれない。2022/01/05

にしがき

13
👍👍👍 意識研究の先端に触れることができた(気がする)。意識の研究は臨床しかないのかと思っていたが、著者が研究する統合情報理論は、意識の境界・量・質を数学的に説明することを目指した理論。その説明は慣れていない自分には理解が難しいところもあったが、数学的に意識を定義して解明していこうというアプローチは刺激的だった。今後、どんどん新しいことが分かっていく分野らしい。楽しみ。2024/02/25

kenitirokikuti

7
図書館にて。心理学の新しめの知識は既に学んでいたため、そして、Meta Questで6軸のVR映像を見ていたため、本書の提示するものは割と良くつかめた(ような気がする)。統合(インテグレイテッド)情報理論については、提唱者による一般向け解説本(『意識はいつ生まれるのか』)があるので改めてそちらを読もうと思う▲クオリアを計測・比較するアイディアには、あーなるほど(将棋AIの3駒関係評価値みたいなの)。しかし、それも細かい実験結果の蓄積があってこそのものだなぁ2022/08/04

kamekichi29

6
意識の研究の最前線の概説でした。意識がどこからくるか、生まれるかなどはまだまだわかっていないことが多いようですね。 意識を数値化したりして測定できるようになる統合情報理論?とか研究に使えるツールがいろいろ考えられているみたいです。2024/07/19

しみそー

6
面白かった。クオリア構造の話がまだピンときていないが、もしこのアプローチでクオリアの仕組みが理解できるなら、凄いことだと思う。■一方で、現時点では心身問題は解決できなさそう、とも感じた。例えば、意識の性質をサポートする物理的なネットワークがあったとして、そこにどうして意識が宿らなければならないのか、という問題には答えられていないように感じた。自分がまだ理解していないだけなのか、それとも理論の発展とともにいずれ解明されるようになるのか……。2023/06/14

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