内容説明
日本語に起こっていることを,じっくり観察してみよう.ことばはうつりゆくもの.昔と少し違っても,知らない単語が増えても大丈夫.しかし,安定したコミュニケーションを脅かす危機が,そこかしこにみられないだろうか.壊れかけた日本語と,それらが照らし出す私たちの「今」を探り,来たるべき未来へ向けた提言をする.
目次
はじめに┴序章 日本語のみかた┴第一章 壊れた日本語┴一 比喩は成り立っているか┴二 先まわりする表現――理を超えた情┴三 解凍できない圧縮┴第二章 「私」の時代の書きことば┴一 思考の器としての言語┴二 他者の不在――「共有」から考える┴三 あるがままを認めてほしい――匿名の時代┴第三章 ことばの変化をみる┴一 「打ちことば」の領域拡大┴二 「書きことば」の「話しことば」化┴三 「場」の変化――「話しことば」の現在┴第四章 「書きことば」の復権┴一 双方向的(インタラクティヴ)なやりとり┴二 公性の意識┴三 リベラルアーツを学ぶ┴四 「よむ」しかない┴終章 「私」を超えて┴一 コロナ下のことばをよむ┴二 「私」を超えたコミュニケーションのために┴三 日本語が「壊れる」前に┴あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
74
「書く」と「話す」言葉の間に明確な差異があった時代から言文一致へ。それが「知」へのアクセスの裾野を広げたのは間違いないが、多くの人が使い手となることは易きに流れることに直結。著者は書き言葉が話言葉にひっぱられて劣化し、それが思考の枠組みの劣化につながることに警鐘を鳴らす。そこは賛同。でも新聞の見出しをサンプルとして丁寧に伝えようとして、何だかまだるっこしくて。今となっては、「打ち言葉」、さらにはSNSの動画の力が、思考を規定していく現実に脅威を感じる。そこに切り込むことは難しかったのかな。もったいない。2024/07/04
しゃが
65
日本語を従来の「話し言葉」「書き言葉」と昨今のSNSでの「打ちことば」に分類。圧縮と解凍の関係性から、若者のほうが解凍の空気感を読む能力にすぐれている。書き言葉のメールが日常の私にはつぶやきやlineが苦手。比喩表現も面白く、例えば「心に刺さる」「心が折れる」は身体性が失われるなど。が、全般にエッセイの要素が強く残念。朝日新聞のデータベース『聞蔵Ⅱ』の検索結果から考えは構築、もうネット上のデータベースは一次資料とみなされるのだろうか。著者がハードやセミハードな書き言葉に触れることを推奨しているのに…如何に2022/03/06
zero1
40
正直ガッカリ。【書く、話す】に加え【打つ】が加わった日本語。本書は【聞蔵Ⅱ】を用いて新聞記事の表現を批評している。日本語ではなくメディアを語りたいのか。ならばニュースが意見を挟むことで【ニュースショー】に変化した経緯(後述)や【フェイクニュース】など論じてほしかった。コロナ禍での講義や不寛容、反証可能性は考察の余地あり。【非ありのまま言語化】を私は【書かない表現】と呼ぶ。📚️本書における語句の使い方について、岩波に問い合わせている。2024/07/13
浅香山三郎
12
近年の日本語表現のなかに生じてゐる現象を論じる。打ち言葉、書き言葉の話し言葉化、言葉が発せられる「場」の変化、テニヲハの圧縮、情緒的な表現の跋扈など、あげればきりがないが、本来の使ひ方を離れた(論理的にはおかしい)日本語表現が増へてゐると著者はいふ。そこには、社会・共同体のコミュニケーションのあり方の変容があり、書き言葉の混濁の背景には思考の混濁があると指摘する。第4章、第5章にあるやうにそれはネット社会的な言葉が行き交ふ空間の同調圧力や承認欲求の存在とも繫がる論点であるといふ。↓2023/03/29
蛸墨雄
10
なるほどね、「話し言葉」と「書き言葉」の次に、現在「打ち言葉」が発生し、それにより「私」という概念が複雑化してきているとか…。ただ、言葉は変化するものであり、それをそうと受け止めつつも、知識を蓄積し、思考の礎となる言葉を丁寧に、大事にするという訓練を欠かさずに行い、その変化を楽しむくらいの気持ちで生きようと勇気づけられました。そして、書き言葉を磨くためには、ハードな書き言葉やセミハードな書き言葉に触れること、即ち、硬めの書籍を手に取ることと古典に触れることをせよと言うことで、源氏行きます。2022/01/19
-
- 電子書籍
- ミスター味っ子(特別版)第13巻
-
- 電子書籍
- 空っぽの少女と虹のかけら 3巻 マッグ…
-
- 電子書籍
- 【フルカラー】お人形さん【タテヨミ】7…
-
- 電子書籍
- アルバトロス【分冊版】 3 マンガの金…
-
- 電子書籍
- THE DOG WORLD(2)




