内容説明
能面打ち師が拾ってきた顔に傷がある女。その女の素性を調べていくと、京の都に巣くう「鬼」の姿が浮かび上がる(「鬼女の顔」)。都で名高い桜の木を愛でる老貴族を襲った厄災。その背後には南朝の残党が……(「桜供養」)。京の街で土倉(高利貸し)が襲われる事件が続発する。都を騒がす事件の真相とは!?(「去にし時よりの訪人」)。応仁の乱前夜の京の都で観世座の能楽師と訳ありの弟子が人々の心に棲む鬼が起こした難事件に立ち向かう、第36回小説推理新人賞受賞作家、圧巻のデビュー連作集。
※本作品は2019年4月に小社より刊行された『去にし時よりの訪人』を文庫化に際し改題し、加筆・修正したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
50
『去にし時よりの訪人(いにしときよりのとぶらいびと)』を加筆・修正・改題のうえ文庫化。文庫化されたということは続編が期待できるかも?2023/05/13
coldsurgeon
5
公家武家のみならず庶民の意識・社会構造の大転換点であった室町時代を背景に、洛中での事件を追った時代劇ミステリーであった。応仁の乱の直前と思われる頃、洛中の街を想像しながら読む物語は楽しかった。観世座の若主人、その一座のの謎の若き主人公など、少しわかりにくい人間関係が、物語の深みを形作っていると思う。現実世界はあやふやだからこそ、人は分かりやすい物語を求め信じたがるのは、人間の性なのだろう。どの人の心にも鬼が棲むとすれば、自らの悪行を都合よく心を塗り替えるか。2022/06/13
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