内容説明
若くして特攻隊に志願した時、人生は終わったと覚悟した。終戦を迎えて生き残った時、残りの人生は余禄だと思った。 を切られた時、一生をヤクザで終わると腹を決めた――。特攻隊、愚連隊、安藤組組長、そして映画俳優へと身を転じた安藤昇。ハジキか女を抱いて寝るような、その破天荒な生き様をモノローグで描く圧巻のノンフィクションノベル！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
82
過日お亡くなりになった慎太郎氏の最期に近い作品。僕は晩年、慎太郎氏が田中角栄やこの安藤昇を描いた事自体を不思議に思う面がある。人が好きであるというのは慎太郎氏の特徴として大いに分かるのではあるが。政治の世界から足を洗い、作家人生の先が見え始め、実はアンチテーゼとしながらも長年惹かれていたものを描きたかったということなのか。安藤昇につき、こう氏は記している。人間の本性の裏側に暴力という禁忌なエネルギーへの渇仰が在るに違いない。体の内にある得体の知れぬ共感がある、と。2022/04/30
Shoji
38
昭和ヤクザの安藤昇さんの生涯を小説仕立てにしています。かの時代は、政治家も芸能人もスポーツ選手も会社の社長さんもヤクザと表裏一体な部分があって、世の中の均衡を保っていた部分があったんだろな。そんなこと思いつつ読み終えました。「ああ昭和だな」これが感想です。2022/06/06
はかり
16
石原慎太郎の最後の方の作品らしい。田中角栄の本があったと思ったが、安藤昇のことも書いていたとは。関西では田岡満の方が馴染みが深いが関東では安藤昇なんだろう。漢稼業でのしてきた生涯は何とも痛快な面がある。しかも長命だったとは恐れ入る。やりたいだけ喧嘩して好き放題に生きてきた漢はある意味うらやましい。2022/05/13
kiki
5
追悼 石原慎太郎さんということで、私にとっての初の石原作品。The昭和・リアルVシネマ。ヤクザ映画とかって見た事ないのですが、安藤さんが出演している作品や、安藤組の方達がモデルになった作品を、なんとなく観てみたいと思った。2022/10/25
コブタ
4
戦後の愚連隊組長からヤクザ映画俳優となった人物。ほんの7年前、2015年まで生存し89歳で亡くなる。裏社会から陽のあたる場所へ、ある意味昭和の懐の深さを感じる。2022/10/29
