ブルーバックス<br> 遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎

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ブルーバックス
遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎

  • 著者名:中屋敷均【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2022/04発売)
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  • ISBN:9784065277669

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内容説明

2003年にヒトゲノムの解読が完了したが、これで「遺伝子」がわかったのかというとそうではない。DNAにコードされている遺伝子の構成が判明したことで、ヒトゲノムの複雑さがかえって判明してきた。また、DNAに遺伝子はコードされているが、それらは非コード配列やそのコピーである多様なRNAなどによって、たくみに制御されていることがわかってきた。「遺伝子」とは、それらの制御機構を抜きにしては語れないし、「遺伝子」の概念は新たなステージで考える必要があるのではないだろうか?
 本書では、メンデルの実験から、ワトソン、クリックによる二重らせんモデルの発表など、「遺伝子」をめぐる科学史を追いかけながら、「遺伝子」の正体を問い続ける。ゲノムの解読は終わりではなく、「遺伝子とは何か?」という、古くて新しい問いとその答えをめぐる研究の始まりであることを明らかにする野心的な一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

119
これはとてもいい本だ。科学史として抜群に面白いだけでなく、「生物とは何か」「遺伝とは何か」を考える科学哲学でもある。ワトソンとクリックによるDNA二重らせん発見の物語は有名だが、そこで確立したセントラルドグマに対する疑問が、新たな地平を拓いてゆく展開に興奮する。エピジェネティック的な遺伝子制御として、分子修飾や非コードRNAなどの様々な可能性が見出されたことによって、「全く新しい遺伝子の概念が今後生まれてくる可能性もある」という著者の指摘が説得力を持つ。大好きなブルーバックスの中でも出色の一冊。面白い!2022/06/11

アキ

95
1909年遺伝子という概念が生まれ、その後の還元的手法で遺伝物質はDNAと判明した。2001年ヒトゲノムの解読によりタンパク質になるゲノム配列はわずか1.5%であり、RNAによる遺伝子制御の謎、いわゆる「RNA新大陸の発見」に至る。更にエピジェネティックスという獲得形質の遺伝は、体細胞が生殖細胞に情報を伝えることを示す。遺伝子とは互いに重なりを持つことがある機能的な産物の一連のセットをコードするゲノム配列の集合体、という新しい定義は、40億年に渡り生命を維持してきた「複製」という仕組みの進化を表している。2022/06/01

ひろき@巨人の肩

90
遺伝学の通史が学べる良書。顕微鏡、統計、物理化学、結晶解析、同位体分析など駆使した遺伝学者たちの緻密な観察眼と先鋭的な仮説により、メンデルの法則、DNA二重らせんモデル、セントラルドグマと発見されていき、「遺伝子」と「生命」の機構が解明されてきた。セントラルドグマの完成された情報システムを見ると、まさに「生命」とは「遺伝子」の乗り物であると思う。現在は「生命」と「遺伝子」の起源を解明する段階。そのヒントを探るため、DNAを超えた遺伝子として、エピジェネテイクスやRNAによる遺伝の影響が研究されている。2023/03/21

やいっち

84
中屋敷 均の本は、『ウイルスは生きている』以来で、二冊目。この本も面白かったことも、本書を選ぶのに後押しとなったのは確か。  期待以上の本だった。今更「遺伝子とは何か?」なんて教科書的な本など退屈なのではないか…そんな野暮な危惧など吹き飛ばされた。一応は、科学史に基いて「遺伝子とは何か」が綴られている。その過程でも、ワトソンとクリックらによるDNA発見というトピックの陰のドラマが描かれていたりして、実に面白い。2022/06/05

kan

32
勤務校図書室の新着本。さすがのブルーバックス。メンデルの研究など歴史的経緯も含めDNAやRNA周辺を概説。生物学の知識のない私には少し難しかったが、エピジェネティックな情報が後代に受け継がれ、DNAだけでは決定されない遺伝情報の不思議や、遺伝子の定義拡張など、ワクワクする話が沢山あった。以前の勤務校でワトソンとクリックがNatureに発表した有名な論文を英語で読む課題が生物科であり私も一緒に読んだため、その背景話はとても興味深かった。帰納的、演繹的アプローチの両者があってこその発見という解説に膝を打った。2022/06/26

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