ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 - 世界はどう変わるのか

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ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 - 世界はどう変わるのか

  • 著者名:遠藤誉
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • PHP研究所(2022/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569852324

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内容説明

習近平はプーチンのウクライナ軍事侵攻には反対だ。なぜなら攻撃の口実がウクライナにいる少数民族(ロシア人)の虐待で、その独立を認めたからだ。これは中国のウイグルなどの少数民族の独立を認めることに相当し賛同できない。しかしアメリカから制裁を受けている国同士として経済的には協力していく。これを筆者は【軍冷経熱】という言葉で表している。ロシアが豊富なエネルギー資源を持っていることも【経熱】の理由だ。ロシアがSWIFT制裁を受けていることをチャンスと捉え、習近平は人民元による脱ドル経済圏を形成しようとしている。中国はEUともウクライナとも仲良くしていたい。一方、ウクライナは本来、中立を目指していた。それを崩したのは2009年当時のバイデン副大統領だ。「ウクライナがNATOに加盟すれば、アメリカは強くウクライナを支持する」と甘い罠をしかけ、一方では狂気のプーチンに「ウクライナが戦争になっても米軍は介入しない」と告げて、軍事攻撃に誘い込んだ。第二次世界大戦以降のアメリカの戦争ビジネスの正体を正視しない限り、人類は永遠に戦争から逃れることはできない。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

133
ウクライナに侵攻したロシアに賛同せずに経済協力はする中国。著者は習近平の【軍冷経熱】の思惑を「エネルギー安全保障」と「石油人民元」構築にあると分析。制裁対象国に次々付け入る武器商売や利害関係を対露非難棄権やグラフで解説する手腕は鮮やか。ウクライナを地盤化したバイデンの暗躍がもう一つの焦点。プーチンの背後で高みの見物をするアメリカの戦争ビジネス。多少のバイアスはあるかもしれないが、いざとなったら見放すかもしれないアメリカと潤い続ける中国相手に、日本も独立国としてのあり方を考えねばなるまい。パワフルな81歳。2022/07/21

エピファネイア

90
ロシアのウクライナ侵攻には大国のエゴが存在すると著者は指摘する。ウクライナを巡るロシアと欧米の動き、そしてウクライナの親欧米派と親ロシア派の動きをまとめた年表がそれを活写していて秀逸。戦争に至る一連の流れを見ると狂犬プーチンの罪は当然として、オバマ政権時代からのバイデンの罪も大きいと筆者は言い切る。習近平は、両国とも良好な関係を維持したいがために、平和的な解決を望むというだけで旗幟を鮮明にせず、一方でロシアの資源を安く手に入れようと水面下で漁夫の利を画策する。ウクライナの人々に平穏と栄光をと願うばかり。2022/05/24

Aya Murakami

64
図書館本。 タイトルから中国とロシアが手を組み悪事を働くいつもの嫌中本かとおもいましたが違いました(ついでに本を手に取った時点で著者は初耳の作者さんでした) 頭に血が上ったロシアにそれをうまく操ったつもりで結果的に回りを引っ掻き回しただけのアメリカ(と西側諸国)、愚かな二者をまたにかけて巨万の富を稼いでいる中国(ほめています)。先日の半導体対中制裁の一面記事を読んで「これはアメリカから距離とって中国に近づいた方がいいな」と思いましたが勘は間違ってないようでしたね。後戦地に犯罪者を野放しにするべからず。2023/07/29

きみたけ

57
著者は「中国問題グローバル研究所」所長で、筑波大学名誉教授の遠藤誉先生。ロシアのウクライナ侵攻で世界が混乱する中、中国の動向の把握、世界を俯瞰した視点での展開にとても勉強になりました。習近平が描く対露「軍冷経熱」の恐るべきシナリオ、台湾武力攻撃の触発、ウイグル「太陽光パネル基地」戦略とイーロン・マスク効果、バイデン大統領に利用され捨てられたウクライナの悲痛、ウクライナをめぐる「中露米印パ」相関図など、若干中国寄り視点が気になるものの、終始興味深い内容でとても良かったです。2022/07/08

崩紫サロメ

24
少々評価のしにくい本。ベースとなるのは、著者の専門とする中国の経済政策(エネルギー問題、デジタル人民元など)。中国とロシアは経済的に強い結びつきを持つとともに、ウクライナもまた、ソ連崩壊時からの友好国。更にEU加盟国27カ国のうち18カ国は一帯一路に加盟している。そこから中国の立ち位置を単純化できないことを説いているのは良いのだが、アメリカ、特にバイデンの評価に対しては陰謀論と言えるレベルで単純化し、断罪している。中国の部分に対する信憑性も下げてしまったのではないだろうか。2022/06/15

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