内容説明
女王は愛のために生き、騎士は愛のために死ぬ
悲劇の十字架を背負った少女は、生と死の果てに運命の人と巡り会い…
九日間女王、ジェーン・グレイ。十六歳にして断頭台の露と消えた──が、目覚めると九歳の自分に戻っていた。混乱した無力な少女はなす術もなく死に向かい…再び、九歳のジェーンとして目覚めた。繰り返す人生の中、陰謀や裏切りに何度も力尽きながらも生きようと足掻くジェーン。そんな彼女を助けるかのごとく、毎回違った役割で現れる騎士ハロルド。いつしかジェーンはハロルドを心の支えに、運命に立ち向かう。
ふすい・装画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すがはら
19
タイムリープもの。在位9日の英国女王で最期は斬首された実在の女性がモデル。何度か死んだ後の成功する1回の物語ではないので途中はちょっと苦しくなります。実際の時代の制約があるからそうそう胸のすく展開にもできないし。その回の流れによって自分との関係性が変わってしまう人達への複雑な感情の部分が面白いです。ジェーン・グレイは世界史の授業ではほぼ無視されてた気がするけど、処刑場面の絵が印象的だから皆の関心が高いんでしょう。芸術は偉大だ。2022/05/22
鯖
18
怖い絵で取り上げられたことで有名となったポール・ドラローシュの「ジェーン・グレイの処刑」あのぷっくりとした幼いおててが見るたびつらい。周囲に祀り上げられ王座につき、わずか9日後には大逆罪で投獄され、親にも売られ、史実では16歳で処刑された彼女が9回ループして死から逃れるラノベ。転落死溺死にジェーングレイ九度死ぬ。ループものFF零式で膝に受けたダメージがでかすぎて未だにトラウマなんですけど、これも辛かった。ラストはふんわり生き延びて読書三昧な日々になりそうなので、そんなに歴史改変の影響もなさげ。お幸せに。2024/02/21
Ayako H
9
買いました。気楽に読める本として購入したらまさにその通り、まるでマンガでした。名画の方はよく知っていますが、そこから想像をふくらませてこんなストーリーになるとは。よみがえりの小説はいくらでもあるけど、ダントツでマンガ、TV向き。当初の目的通り気楽に読める本でした。2022/06/24
鳩羽
8
ジェーン・グレイは、プロテスタント派により女王に担ぎ上げられ、陥れられ、十六歳の短い命を処刑台に散らした。しかし、気づいたら九歳のある朝に戻っており…。ジェーンは自分が死なないようにするため、運命を変えようとする。…賢いけれど力を持たない少女が、信用できる大人や男、権力者を見極め、立ち回ろうとするのが痛々しい。その等身大の少女の行動は、素直に応援したくなる。ループものだが、ロジカルな感じも、ロマンチックな感じもあまりなく、ジャンルに拠らない感じが少し作品としての弱さなのかなと思った。2022/04/20
しのぶ
5
ポール・ドラローシュの「ジェイン・グレイの処刑」に衝撃を受けて以来、何かと気になる存在で、カーリン・ブラッドフォードの『九日間の女王さま』もすぐ読んで、だけどメアリ・スチュアートやエリザベス1世ほどには取り上げられることもないのでもどかしく思っていたのですが、ついに! ジェーン・グレイが主人公のお話に巡り合えた! そしてとってもおもしろかった! 久し振りに「THE TUDORS―背徳の王冠―」の記憶も蘇りましたよ! あれも好きだったんですよねぇ。2022/10/04