内容説明
五月の晴れた日に、お饅頭のようなかわいらしい子猫と出会った。親猫はおらず、病院に連れて行ったところ、特別な猫であることがわかって――。花ちゃんと名付けられた子猫が、元気に走り回るようになるまでを描いた「生きる歓び」。それから十八年八カ月後、花ちゃんとの別れが語られる「ハレルヤ」。青春時代を振り返った川端康成文学賞受賞作「こことよそ」など愛おしさに満ちた傑作短編集。(解説・湯浅学)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
83
NHK「作家と猫」の番組で知り、いつか読みたいと思っていた作家。独特の文体に行って戻ってしながら、独特なのは作者の感性もだと思いました。4話のうち「ハレルヤ」と「生きる歓び」は猫との出会い、猫との暮らし、とくに病気になった猫への思いが書かれていて、共感し、ときにハッとさせられながら読みました。『「生きている歓び」とか「生きている苦しみ」という言葉があるけど、「生きることが歓び」なのだ。』そのまなざしの深さは、猫以外へも向けられていて、他の2話もやゝ難解ですが、しみじみとした気持ちにさせられる作品でした。2022/05/11
くろうさぎ
19
猫を飼ったことがない私でも、色んな場面で心が揺さぶられるのに、猫好きの方は涙なしでは読めないのではないでしょうか?扱っているテーマは重くても、そこには哀しみだけではない、ある意味救いのようなものを見出せたりもするものなのですね。著者の猫に対する思いが、そこかしこに溢れていて、じーんとします。これから、まだまだ他の作品も読んでみたいと思う作家さんです。2023/12/02
鈴木拓
19
レナード・コーエンのハレルヤを聞きながら後書きを読み、何年も前に亡くなった猫を思い出して涙。単に悲しみの涙ではないが、今を生きる者だけが許された行為だろうとも思う。猫にとって過去も未来もなく、あるのは今を懸命に生きること。いや、それは人間にとっても同じだろう。何が必然で、何が偶然かなどと考え、つい意味を追い求めてしまうが、大切なことは、出会い、共に生きるという事実でしかないように思う。結局考えるのは無駄なことばかりなのかもしれない。猫に教えてもらうことがたくさんある気がする。2023/08/08
hasegawa noboru
16
2018年7月刊とあるから、とうに6年は過ぎていた積読本。読了して改めて表紙カバー写真の片目の猫花ちゃんの成長して18年8か月生きたという威厳ある愛らしい姿に心揺すぶられる。<私はこれらの小説を歌のように書いたんだと思う>と作者は「あとがき」で言う。<歌というのは、歌詞の意味がわからなくたって心が揺すぶられたり、元気が出たり、深く内省的な気分になったりする。><小説は野球やサッカーの中継に没頭するように、これをどういう風に感想文にすればいいか?を考えず、ただ読めばいい。読んで人に言える感想がないのはバカッ2024/07/18
Meme
16
描写がうまいなぁ。言葉数が多くなく、普段使いする言葉ばかりだが、描写が鮮明に伝わってきます。他の方の言葉を借りて、人は萎縮し続けていると言ったり。生きていることが歓びだといったり。感じないことは感じないと知り、その感覚を大切にしていこう。私にはただ〇〇するという経験が少なすぎるかもしれません。2023/05/27
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