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内容説明
新疆ウイグル自治区南部「回疆」のオアシス社会と暮らし、経済を解き明かす。交通・貨幣・官僚・徴税といった清朝の回疆統治の諸制度の運用を明らかにし、灌漑農業と水利システムの実態解明に挑む。さらに、オアシス都市の構造・施設・機能を復原したうえで、そこに生きた人々の生活を垣間見る。新疆ウイグル自治区での中国政府の抑圧的な統治政策をめぐる諸問題の本質的な理解に繋がる、回疆の知られざる社会像。
目次
序文
序章 新疆経済史の可能性
1.中央アジア史のなかの新疆地区
2.シルクロードの実態と変容
3.清朝の中央アジア統治
4.清末からの新疆の経済
第一部 清朝の回疆統治
第1章 清代回疆の交通事情:軍台と 倫を中心として
はじめに
1.清朝の支配と軍台
2.清朝の対外政策と交易路
おわりに
第2章 清代回疆の貨幣制度:普爾鋳造制について
はじめに
1.普爾鋳造制の創始
2.普爾鋳造制の確立
3.清の回疆支配と普爾鋳造制
4.道光の改革と制度の崩壊
おわりに
第3章 清朝の回疆統治についての二,三の問題:
ヤルカンドの一史料の検討を通じて
はじめに
1.文書の紹介
2.年代と性質
3.『大木文書』からみた清朝の回疆統治
おわりに
第4章 『大木文書』のベクたち:
中国第一歴史 案館所蔵史料との検証
はじめに
1.「ベク官人」制度の研究と『大木文書』
2.『大木文書』のベク記事
3. 案史料に遺るヤルカンドのベクたち
4.『大木文書』の前と後
おわりに
第二部 農村と水利
第5章 清代回疆の水利灌漑:
19~20 世紀のヤルカンドを中心として
はじめに
1.回疆農業に於ける灌漑
2.ヤルカンド= オアシスの灌漑水路
3.ヤルカンド= オアシスの農村社会と水利網
4.オアシス灌漑網の運営
おわりに
第6章 清代回疆の耕地面積:
流れる水から,動かぬ大地へ
はじめに
1.新疆省期の回疆耕地
2.清朝の把握した回疆耕地
3.パトマンをめぐって
4.清代回疆の耕地面積
5.水と土地と種
おわりに
第7章 トルファンのカーレーズ小考
はじめに
1.カーレーズの灌漑面積
2.嶋崎氏の所説
3.嶋崎説の問題点(1)
4.嶋崎説の問題点(2)
5.カーレーズ灌漑農業の経営形態
6.カーレーズの導入と普及の理由
おわりに
第8章 回疆玉米考
はじめに
1.回疆へのトウモロコシの伝来
2.トウモロコシの普及とその原因
3.耕地面積をめぐって
4.回疆農耕の変容
5.変化の背景
おわりに
第三部 オアシス都市
第9章 回疆都市ヤルカンド:景観的復原の試み
はじめに
1.ヤルカンド
2.囲郭と城門
3.商業活動の場:バーザールとサライ
4.宗教・教育施設
5.貯水池その他
おわりに
第10章 ヤルカンドの街区:
旧城内の歴史的プラン復原の試み
はじめに
1.現在のヤルカンド旧城の街区:囲郭撤去の後
2.旧城に囲郭のあった頃:1965年以前のヤルカンド
3.19世紀の『大木文書』にみるヤルカンド旧城
4.オアシス都市の仕組みについて
おわりに
第11章 カシュガル旧城居住街区の点描:
Kona Orda Kocha にいたるまで
はじめに
1.カシュガル「旧城」について
2.「旧城」内の街区:1987~1990
3.居住街区の点描
おわりに
第四部 文書史料が描く回疆社会
第12章 トルファンの回子たち:
嘉慶年間の軍機処文書の一端の紹介
はじめに
1.嘉慶「吐魯番(トルファン)回子訴求案」
2.4点の非漢文文書と3点の漢訳文書の紹介
3.「吐魯番回子訴求案」文書群の構成の復原
4.3点のE.T. 文書
おわりに
第13章 回疆犯科帳:
清代漢籍史料からみたる社会の一断面
はじめに
1.考察の視角・先行研究および史料
2.日常性の内のハプニング:傷害致死事件から
3.物欲のからみ:ベター= ライフを求めた結果に
4.何時でも何処でも:男と女
おわりに
第14章 ウプサラ大学所蔵の二片の回疆公文書
はじめに
1.ウプサラ大学の中央アジア写本
2.ふたつの文書の記事
3.記事内容の検討
おわりに
補論1 『大木文書』の年次についての補論
はじめに
1.拙稿中での私案と補論の理由
2. 案館の録副・纊批に見える官人ベク
3.『大木文書』中のベク人名と 案史料
4. 案史料の可能性
おわりに
補論2 回疆の社会経済文書について:
チャガタイ語文書の紹介を中心として
はじめに
1.回疆の社会・経済史研究の現状:史料的条件から
2.近年の回疆文書の公開
3.文書例の紹介
4.初歩的な諸問題
おわりに
結 章 オアシスに生きた人々
はじめに
1.ヤルカンド= オアシスの古代・中世
2.清代のヤルカンド
3.水利用と交易からみたヤルカンド= オアシス
4.オアシスの中心:囲郭都市
おわりに
文献一覧
跋文
索引