格差と闘え - 政府の役割を再検討する

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格差と闘え - 政府の役割を再検討する

  • ISBN:9784766428056

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内容説明

ピケティ『21世紀の資本』以降、格差をめぐって理想論や抽象的な正義の問題ではなく、具体的な対策が期待されるようになってきた。その役割として政府による政策の力が見直されるようになってきた。
世界トップレベルの経済学者を中心に、格差の現状、その弊害から具体的な政策論の意見を闘い合わせたシンポジウムの記録。

目次

序章 格差拡大を逆転させる手段はある

 第Ⅰ部 状況の展望
第1章 先進国の格差をめぐる10の事実
第2章 状況についての議論

 第Ⅱ部 倫理と哲学の元
第3章 経済理論に新たな哲学的基盤が求められる時代か?
第4章 経済学者が対処すべきはどんな格差か?
第5章 なぜ格差が問題なのか?

 第Ⅲ部 政治の次元
第6章 資産格差と政治
第7章 格差への対処に必要な政治的条件
第8章 アメリカで経済格差に取り組む際の政治的な障害

 第Ⅳ部 人的資本の分配
第9章 現代のセーフティーネット
第10章 教育の未開拓の可能性
 
 第Ⅴ部 貿易、アウトソーシング、海外投資に対する政策
第11章 なぜ「チャイナショック」は衝撃だったのか、政策にとって何を意味するのか
第12章 貿易、労働市場、チャイナショック――ドイツの経験から何が学べるか
第13章 格差との戦い――先進国の格差縮小政策を再考する

 第Ⅵ部 金融資本の(再)分配
第14章 (するべきなら)富裕層に増税する方法
第15章 資産税は格差との戦いに役立つか?
第16章 資産に税を課すべきか?

 第Ⅶ部 技術変化のスピードと方向性に影響を与える政策
第17章 (過度な)自動化を後戻りさせられるか、させるべきか
第18章 イノベーションと格差
第19章 技術変化、所得格差、優良な仕事

 第Ⅷ部 労働市場についての政策、制度、社会規範
第20章 ジェンダー格差
第21章 所有権による格差の解消策

 第Ⅸ部 労働市場ツール
第22章 万人への雇用保障
第23章 仕事を底上げする
第24章 労働市場における効果的な政策手段を設計する際の法的執行力の重要性

 第Ⅹ部 社会的セーフティネット
第25章 社会的セーフティネットの向上を基盤にミクロとマクロのレジリエンスを高める
第26章 子供のいる世帯向けの社会的セーフティネット――何が有効か、さらに効果を上げるにはどうするか?

 第 部 累進税制
第27章 再分配政策を支援する税制についての考察
第28章 私たちはなぜ再分配の増加を支持しないのか?――経済学的調査からの新しい説明
第29章 資産税に効果はあるか?

『格差と闘え』解説
訳者あとがき
注と文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

14
ブランシャール、ロドリック、アセモグル、サマーズ、サエズ、マンキューら著名な経済学者が集まって2019年に格差について行われたカンファランスでの議論をまとめたもの。どの議論も興味深い。ヨーロッパの社会保障がは給与税(社会保険料)と付加価値税(日本の消費税)が税収の大半を占める事、格差が広がると右派政党は移民や少数派への敵意を煽る事で支持を得ようとするが、格差に対する現実的な解決策は提示しない、などとの議論が印象に残った。2023/02/07

moon-shot

5
これは良書。単なる分析に留まらず、思っていたより遥かに実践的な提言集でした。白熱したのが「資産課税」で、ピケティ派とアンチ・ピケティ派できれいに見解が分かれて読む方も興味津津。「資本家から資本主義を守る必要がある(アギオン 第18章)」も突き刺さる。確かに今の資本主義は自家中毒状態だ。「アメリカで最も低賃金で不安定な仕事の一部は、ほぼ間違いなく最も重要な仕事だ(エルウッド 第23章)」も本当にその通りで、なぜそうなるのか。個人に質の良い仕事を与えることを国の責務とする「連邦雇用保障」。ぜひ実現してほしい。2023/07/31

takao

3
ふむ2023/01/10

鬼山とんぼ

2
いい本だが論点の中心が米国に偏っており、縁の薄い日本の一般読者にとっては歯応えがありすぎと感じた。米国独自の「勝者が総取り、負けた者弱い者は放置」という社会の在り方は、聖書至上主義のルター派の変形発展版である米国キリスト教と奴隷制の歴史が根底にあり、そこに根差した格差の構造は簡単には改変できない。それで副題の「政府の役割」を強調しているのだろう。私自身は諸悪の根源は共和党と宗教右派の結託にあり、パレスチナ問題の深刻さも同根と見ているが。若い学生には頑張る意味があるだろうが65歳の私は精読するのを放棄した。2023/11/27

スコットレック

2
経済学者の方々が各テーマに沿って、格差の問題、そのための解決策を論じています。各章が短めなので読みやすい。各経済学者の方達の対談形式にした方が、はるかにわかりやすく、さらなる問題点と解決策を浮き彫りにできたのではないかと思うのですが・・。2023/08/16

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