講談社学術文庫<br> 女人禁制

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講談社学術文庫
女人禁制

  • 著者名:鈴木正崇【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2022/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065277119

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内容説明

男女同権はすくなくとも社会通念上は、あたりまえの前提となって久しい。
だが、日本の各地には、女性の立ち入りを禁止する聖域や、特定の神事には女性を参加させないという慣行が現在も存在している。
そして、大相撲の土俵についての「禁制」は、たびたび物議をかもしてきた。

「女人禁制」とはいかなる背景から生まれ、変化する政治や社会の中で受け継がれてきたか。
なぜ、時に激しい批判にさらされながらも、人々はそれを守ろうとするのか。
女性たちは禁制をどのように受容し、あるいは抵抗し、つくり変えてきたのか。

「差別」として批判をする人々と、「伝統」として守ろうとする人々。
この対立構図は、当事者達にとって調停不可能であり、今後も継続することが予想される。
本書では、文化人類学的分析を柱にしつつ、宗教学、民俗学、歴史学、国文学、社会学など様々の分野の成果を取り込んで、
暗黙の前提を覆し、賛成か反対か、伝統か差別かという二分法を乗り越える視点を提示するものである。

第一人者が、真の解決に不可欠な知見を、この一冊でわかりやすく示す!


【本書の内容】
学術文庫版の刊行に際して
女人禁制の現在―プロローグ
女人禁制への視角
大峯山の現状
山と女性
女人結界
仏教と女性
穢れ再考
あとがき
二十年の後に―学術文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

51
フェミニストが怒り出しそうなタイトルだが、女人禁制や女人結界を中立的かつ総合的に記述した本である。山岳信仰で女人禁制としているところはあるが、一切ダメという事例から特定の期日には入れるなどさまざまな違いがある。現在でも相撲の土俵や日本酒造り、トンネル工事などで女人禁制となっているが、単純に差別とは言えないものもあって興味深く読むことができた。近年では少しずつ女人禁制が少なくなりつつあるが、差別は解消すべきだという理念だけで現実は解決しない。時間をかけて伝統と差別のバランスを取っていく智慧が必要だと思う。2022/06/07

たまきら

38
新刊コーナーから。男性の学者さんがなるべく中立の立場になって書いています。…伝統芸能が女性から始まり、有名になった後男性に独占され女性が参加禁止になったりした事例って結構あるんじゃないかなあ…。昔、一時廃れかけた伝統芸能が女性を参加させることで生き残って認知度が上がり、参加者が増え報道されるようになったらまた女人禁制になった、という話を研究者から聞いたことがあります。身近だとわんぱく相撲もそうですが、伝統の名のもとに行われる制限にそれほど正当性を感じない自分がいます。…単純に拒否される側は傷つくのよ。2022/06/29

Shoji

35
この本は、吉野の大峯山における女人禁制について、多くの紙幅を費やしています。私も大峯山に年に一回は必ず登拝することを自身に課しており、さっそく手に取ってみました。女人禁制とは、差別や女性蔑視とは全く次元の異なることであると前置きしたうえで、民俗学的アプローチで女人禁制を解説しています。女人禁制を「宗教上の理由」と片付ければそれまでですが、習俗や伝統、文化、因習、修験信者の真情など簡単に説明がつかないのが事実のようです。どちらかと言うと、「女人禁制」反対派の方にお勧めしたいと思いました。2022/07/21

うさぎや

9
女人禁制とは何かを説く、作者いわく「基礎編」な1冊。その真意が女性蔑視だけではないというのはわかったけど、でもその意識も十分すぎるほど含まれているのもわかって、なんとも理不尽だなあという感じ。2022/04/20

がんもどき

7
昔の人達が手っ取り早く聖性をでっち上げるために排除したものの中に女性の月経があったんだなと言う話だった。時代が下って女性に山を開いても何が起こる訳でもなく、女性の穢れ云々と言うのも屁理屈だよなあと。2022/09/12

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