内容説明
最愛の母を自宅で看取った、泣き笑い回想録。
直木賞作家・桜木紫乃さんが大絶賛!
<一緒にお母様を看取らせてもらったような錯覚は、わたしがこれから行く道を照らしてくれるだろう。本書は、親をなくすという大切な儀式のテキストだ。>(文庫解説より)
元「食堂のおばちゃん」山口恵以子さんが松本清張賞を受賞して実質的な作家デビューを果たしたのは55歳の時。お見合いは43連敗、ずっと実家住まいの山口さんをいつも傍らで見守り、励ましたのが母・絢子さんでした。
そんな最愛の母が認知症になってから、自宅での介護、看取り、そして葬儀のことまでを温かな筆致で克明に綴った『いつでも母と』は、単行本発売時に大反響を呼びました。
文庫化にあたり、絢子さんの主治医でしろひげ在宅診療所院長の山中光茂先生との対談や山口さんの書き下ろしエッセイ、桜木紫乃さんの解説を新たに加えています。
山口さんは「はじめに」でこう綴っています。
<介護を体験した方や、現在介護中の方、大切な人との別れを経験した方にとって、この作品が少しでもお役に立てれば、あるいは何の役にも立たなかったけど「あまりのアホさ加減に思わず笑ってしまった」なら、大変幸せに思います。>
※この作品は単行本版として配信されていた『いつでも母と』の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アオイトリ
22
読メのレビューより)介護予備軍におすすめ。ユーモア満載の体験談です。側から見れば仲良し母娘、ご本人曰く癒着であり共依存の閉じた関係だったと。でもよくぞ看取った、天晴れ!と惚れ惚れするようなガッツと愛情に言葉がありません。葬儀、お墓、オレオレ詐欺、認知の進む母との暮らし、トイレのお世話、介護保険の利用、在宅医療、看取り。どれも大事で、とっても為になる。どんな時も、何歳になっても、あっけらかんと絶対的に娘の味方だったママ。すばらしい女性です。2023/04/18
Sakura
16
「食堂のおばちゃん」シリーズの作者の、母親を自宅で看取るまでのエッセイ。私自身、昨年認知症の母を病院に入れたり施設に入れたりしたので、こういう話は特に気になって。作者のような介護なんて全然していないので、自称マザコンな作者とは言え、頭が下がる思いで読みました。いつかは必ず、家族も自分も死んでしまうのだなあとしみじみ。なるべく人には迷惑かけずに一生を終えたいのだけれど、母を見てるとそれも難しいのだなあと、またしみじみ。2023/01/24
Karl Heintz Schneider
15
ほのぼのとした表紙絵を見ると穏やかな気持ちで最期を過ごしたかのように思えますが、そこに至るまでには様々な心の葛藤がありました。母が母でなくなる日々に戸惑い、怒り、嘆き悲しみ、その様子が赤裸々に描かれています。「食堂のおばちゃん」に描かれているほのぼのとした物語には、いつも癒されていましたがこんなに大変な思いをしながら歯を食いしばって書いていたのかと思うと胸が締め付けられる思いがします。あの物語に出てくる一子と二三には著者自身と、その母親が投影されているのではないか。読みながら、ふとそんなふうに思いました。2022/07/27
アマザケ
14
著者が母の最期を看取るまでの介護の記録が綴られている。少子高齢化が比類ないほど急速に進む未来は明るいと思いたいが、どうしても疑問符がついてしまう。 でも、言えることは死に対する考え方は十人十色。介護の仕方も然り。山口さんの体験記を読んでもし、自分だったら…と考えさせらせた。 著者の母への愛に敬意を表する。2024/12/24
Book・CaFe
11
母親と暮らした60年間のうち介護の日々を18年間過ごした著者。認知症という言葉が定着する以前の介護から看取りまでを描いた日常エッセイ。飾らない率直な気持ちで書かれているので共感する部分があり、著者と対話しているような気分になる。後半の在宅介護は未知の世界であり、過酷な状況ながらも、福祉行政の手厚さ、医療と介護の世界は進歩していることを改めて感じた。人の体験を知ることで選択肢が増えたり考えさせられたり、気持ちに余裕が生まれたりする。介護で疲弊している方や今後介護になるかもしれないという方にお薦めです。 2024/02/12
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