内容説明
冷戦後、軍事アセットを使って相手国との関係強化や地域の安定化を図る「防衛外交」が行われるようになってきた。アジアでも中国の軍事外交が活発化し、それに対抗する防衛外交が各国で急ピッチで進んでいる。日本の安全保障を考える上で避けて通れないこの新しい潮流を、新進の研究者や防衛省・自衛隊の元幹部が正面から論じる。
目次
序章 防衛外交がなぜ日本に必要か[西田一平太・渡部恒雄]
1 はじめに
2 本書の特徴
3 本書の構成
4 おわりに
第I部 防衛外交の論理
第1章 「防衛外交」とは何か──平時における軍事力の役割[西田一平太・渡部恒雄]
はじめに
1 防衛外交の歴史的経緯
2 防衛外交の定義・概要
3 防衛外交の留意点
4 本書の問題意識──今後日本がすべきこと
第2章 防衛外交の潮流と課題[鶴岡路人]
はじめに
1 防衛外交を理解する鍵
2 防衛外交における価値・民主主義
3 軍・軍連携の新段階へ
4 メッセージとしての軍隊──抑止と安心供与
おわりに
第3章 戦略的コミュニケーションと防衛外交[青井千由紀]
はじめに
1 戦略的コミュニケーションの定義と概念
2 戦略的コミュニケーションの死角
3 戦略的コミュニケーションと防衛外交
4 戦略的コミュニケーションと防衛外交──日本の防衛大綱を例に
おわりに
第II部 日本の防衛外交
第4章 防衛省・自衛隊が行う防衛外交[武居智久・徳地秀士・松村五郎・荒木淳一]
はじめに
1 防衛省の行う防衛外交──政策的枠組みの発展と今後の課題
2 陸上自衛隊の防衛外交──遅咲きながら着実に
3 海上自衛隊の防衛外交──防衛外交の先駆け
4 航空自衛隊の防衛外交──航空輸送を中核とした段階的発展と可能性
おわりに
第5章 活性化する日本の防衛外交──インド太平洋への広がりとツールの多様化[佐竹知彦・庄司智孝・伊藤弘太郎・西田一平太]
はじめに
1 日本の豪州への防衛外交──「交流」から「協力」へ
2 日本の対ベトナム防衛外交──戦略的利益の一致と潜在的不一致
3 韓国に対する日本の防衛外交──歴史的経緯と限界
4 「国際平和協力」における日本の防衛外交
5 防衛外交における民間シンクタンクの役割
おわりに
第III部 先進各国の取り組み
第6章 イギリスの防衛外交・防衛関与──新たな古典的役割の模索[鶴岡路人]
はじめに
1 英国にとっての防衛外交・関与──概念と政策上の位置づけの変遷
2 防衛外交・関与の歴史的基礎
3 防衛外交の事例と課題
4 日本への示唆
おわりに
第7章 フランスの防衛・安全保障協力──世界大の軍事ネットワークを土台とした危機管理[合六強]
はじめに
1 フランスにおける「防衛外交」の定義
2 フランスの防衛・安全保障協力の概要
3 アフリカにおける防衛・安全保障協力
4 インド太平洋地域におけるフランスの防衛・安全保障協力
5 おわりに
第8章 オーストラリアの地域防衛関与──南太平洋と東南アジアにおける「足跡」[佐竹知彦]
はじめに
1 概 観
2 南太平洋と東南アジア地域への防衛関与
おわりに
第9章 アメリカの対外防衛・安全保障協力の歴史と現状[渡部恒雄]
1 はじめに
2 米国の対外防衛協力の歴史
3 米国の対外防衛協力の現状と概観
4 米国の対外防衛協力の新しい潮流としての国防組織構築
5 おわりに
第10章 中国の「軍事外交」[山口信治]
はじめに
1 中国の「軍事外交」概念
2 中国の大国化と習近平時代の軍事外交
3 相互訪問・協議
ほか