内容説明
「建物」にまつわる怪の話を集めた、加門七海待望の怪談実話集。
幻の連載『引越物語』に加えて、本書のために新たに4編を書き下ろし。
自らの引っ越しにまつわる不思議な出来事や、自宅での恐怖体験、
訪れた文化財で出会った“この世ならざるモノ、東京の最新風水事情考察など、
妖しくも興味深い実話怪談が満載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
145
「ホーンテッド・スウィート・ホーム」著者の女友達Tの実家である超旧家での怪異が怖くて面白い。当の本人Tにとっては、小さい頃から普通のこととして怪異を捉えているところも微笑ましい。「夜遊び好き…らしい」は南の方の小さな村のお話のようだか、夜遊び好きの神サマとのほほんとした村人たちとの共存も面白い。本書目玉の加門さんのお引越しに関しては、著者の軽快な筆致で怖さは薄れてくれてるようで、実は怖い。しかし、何より怖いって、引越しの際の著者の本、段ボール250箱って…。引越し屋泣かせだなぁ。2020/09/15
yoshida
142
加門七海さんが自分の住む物件探しが前半。後半が文化財やお化け屋敷等、建物に関する怪奇談。加門さんのホラー作品に比較すると怖さは控えめ。逆に風水等に基づく物件の見方など、なるほどねと思う。私は所謂「見えない人」なので、加門さんの物件選びも大変だなと思う反面、危ない物件を選ぶリスクが減るのは羨ましく思ったりもする。私も色々な物件に住んできたが、怪しかったのは大学2年から卒業まで住んだアパート。日当たりは悪かったのですが、月に数回は金縛りにあっていました。その物件を離れてからは金縛りもなし。不思議な体験でした。2019/08/04
ハイランド
131
霊感の無い身にとってはオカルト話の真偽は判断できないのだが、面白いものは楽しむというスタンスでいる。物理的暴力ではない、心理的恐怖。気のせいだよ、偶然だというのは簡単だが、そこに意味を見出すことで伝承が生まれ信仰が起きる。引っ越し物語は猫怪怪でおなじみのマンションにまつわる話で笑わせてもらった。道の話は怖い。「残穢」を思い起こさせるが、因縁をたどる方には向かなかったのね。この人には神社がらみの話が多いが、確か祝山で、興味本位に夜神社に行く人を怒っていたような。あれは自分自身の反省を描いていたのだろうか。2017/03/18
ちょろこ
123
たてものの怪をまとめた一冊。まずは引越しに纏わる怪異からスタート。これを読むとただでさえ引越しって大変なのに、加門さんのように視える体質の人となるとかなりの条件でどっと疲れそう。しかも何もいない場所だとかえって居心地が悪いなんて、さすがだ。あちら側の人が集ったり、通り道でもある「たてもの」でのご自身の数々の不思議体験、いや恐怖体験はなかなかのもの。幻の六畳間、友人宅の天然幽霊屋敷と凡人にはかなりキツいものばかり。つけあがった不法侵入者ともいえる霊にきっぱり強気な態度がカッコいい。もしもの時の勉強になった。2025/01/20
KAZOO
110
加門さんのご自分の住まいやあるところ(主に題名にあるように建物)で感じたことに関する様々な事情をもとにしたエッセイ集です。加門さんはかなり普通の人には見えないものなどが見えたり感じたりすることがあるようです。これはご自分の住まいを決める時のことをかなり克明に記されています。またさまざまな経験談が楽しめました。2025/02/01