内容説明
「建物」にまつわる怪の話を集めた、加門七海待望の怪談実話集。
幻の連載『引越物語』に加えて、本書のために新たに4編を書き下ろし。
自らの引っ越しにまつわる不思議な出来事や、自宅での恐怖体験、
訪れた文化財で出会った“この世ならざるモノ、東京の最新風水事情考察など、
妖しくも興味深い実話怪談が満載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
141
加門七海さんが自分の住む物件探しが前半。後半が文化財やお化け屋敷等、建物に関する怪奇談。加門さんのホラー作品に比較すると怖さは控えめ。逆に風水等に基づく物件の見方など、なるほどねと思う。私は所謂「見えない人」なので、加門さんの物件選びも大変だなと思う反面、危ない物件を選ぶリスクが減るのは羨ましく思ったりもする。私も色々な物件に住んできたが、怪しかったのは大学2年から卒業まで住んだアパート。日当たりは悪かったのですが、月に数回は金縛りにあっていました。その物件を離れてからは金縛りもなし。不思議な体験でした。2019/08/04
nuit@積読消化中
137
「ホーンテッド・スウィート・ホーム」著者の女友達Tの実家である超旧家での怪異が怖くて面白い。当の本人Tにとっては、小さい頃から普通のこととして怪異を捉えているところも微笑ましい。「夜遊び好き…らしい」は南の方の小さな村のお話のようだか、夜遊び好きの神サマとのほほんとした村人たちとの共存も面白い。本書目玉の加門さんのお引越しに関しては、著者の軽快な筆致で怖さは薄れてくれてるようで、実は怖い。しかし、何より怖いって、引越しの際の著者の本、段ボール250箱って…。引越し屋泣かせだなぁ。2020/09/15
ハイランド
129
霊感の無い身にとってはオカルト話の真偽は判断できないのだが、面白いものは楽しむというスタンスでいる。物理的暴力ではない、心理的恐怖。気のせいだよ、偶然だというのは簡単だが、そこに意味を見出すことで伝承が生まれ信仰が起きる。引っ越し物語は猫怪怪でおなじみのマンションにまつわる話で笑わせてもらった。道の話は怖い。「残穢」を思い起こさせるが、因縁をたどる方には向かなかったのね。この人には神社がらみの話が多いが、確か祝山で、興味本位に夜神社に行く人を怒っていたような。あれは自分自身の反省を描いていたのだろうか。2017/03/18
ままこ
98
風水や建物に纏わる怪談エッセイ。飄々とした語り口で怖さは控えめ。『寄せる質』の加門さんが選びに選んで購入したのはオカルティックアトラクション付き面白マンションだった。「襖」の向う側の幻の部屋は何とも言えない風情あり。猫を飼うことになり、お気に入りのインテリアで揃えた新居は“人も住める猫の爪研ぎに変貌”には笑えた。〈道の話〉はゾッとした。人間の無意識も侮れないな。お化け屋敷…話を読むと確かに怖い〜<(ll゚◇゚ll)>2019/03/27
中原れい
85
ウェブ連載だったものの収録を中心に再掲と描きおろしをした体験集。よそに語ったものを丁寧に詳しく語ったものが中心なので、ああこれがこうだったかと気軽に読めました。全体に整っていて読みやすい印象。こういう話はやはり、向き不向きが大きいですね。感じる人でも怖い怖くないが分かれるというか。自分は何も感じないたちですが、加門氏の話はだいたい怖いほうです。2016/08/04