内容説明
戦後日本の礎を築いたワンマン宰相・吉田茂、その長男である文士・健一。著者はこの父といかに接し、どのように見てきたのか。日常生活の回想から吉田内閣論まで、著作集未収録を含む父をめぐる全エッセイを収める。さらに父子が忌憚なく語り合った長篇対談「大磯清談」を併録。文庫オリジナル。
巻末エッセイ・吉田暁子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
31
孫の麻生太郎とは違い、きっちりとしたダンディだと思う。外交のセンスは必須。2019/05/03
ヨーイチ
30
題名の父とは勿論吉田茂のことで、小生が小学生の頃死去、国葬が執り行われた。吉田茂のことは常識程度、放言・暴言、記者に水をかけた等々。大政治家で改めて知りたい訳では無かったけど息子の吉田健一が書いたとなると話は別で「へぇー、こんなのあったんだぁ」と発見の喜びと共に贖う。吉田茂については多くの研究、考察があることだろう、小生的にはあの「吉田健一」の評ということが大切で、実際あの奥歯に物の挟まった様な、軽薄な断定はせず、正確さを追求した様な気取った物言いで微妙な「偉い父親」に対する感情とかを味わう事ができた。2023/05/05
ジョニジョニ
13
吉田茂というひとは、別格の魅力がある。このひとがやったことだからこそ、日米安保条約はいまだかわらず、続いている感じがする。後半の父子対談で、集団防衛について「国が大人になっていればいるほど、外国の兵隊と一緒になって防衛するのだ」とあって、そうなんだろうなーと思いました。だれも暴力をふるわない世界になれば、武器なんてなくなるし、それに越したことはない。その理想はいつも持っておきたいけれど、そうはならない。その現実に対処しなきゃいけない、それが政治家の仕事なんだろうなぁと思うので、僕はやりたくないです。2023/09/06
Ex libris 毒餃子
9
親子会談が非常に興味深い。引退後の生活中であるためか、率直な意見が多く読めて良かった。戦後から政治の問題点が変わっていないのは、それが根幹的なものであるだろうか?ただ、息子・健一が父・茂をパパと呼ぶのが面白かった。外国生活が長いからでしょうかね。2018/03/15
Gen Kato
7
父・吉田茂を描いた息子健一随筆と父子対談「大磯清談」。随筆にほろりと来て対談でいろいろ考えさせられる。現代・現在だからこそ「戦後」のはじまりを拓いた政治家の発言は重い。いい本です。しかし対談中に挟まれる記者(速記者?)のしたり顔のツッコミだけが鬱陶しくてならなかった。2017/10/17