文春文庫<br> 駐車場のねこ

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文春文庫
駐車場のねこ

  • 著者名:嶋津輝【著】
  • 価格 ¥800(本体¥728)
  • 文藝春秋(2022/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167918606

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内容説明

「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。

幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。
つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。
職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。
駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。

おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。

解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」

何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。

※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。
文庫化にあたり、改題しました。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mae.dat

251
表題作含む7篇の短篇。どの話もね、小ぢんまりとした毎日と言うか、内輪話って感じなのね。特に劇的なドラマも無い、何処にでもありそうな日常を過ごしています。しかしながら、どれ一つとして同じものは無いって事なのですかね。至極当たり前過ぎる事ですが。ちょっと変わってはいるかも知れないけれど、何処かには居そうな登場人物の皆さん。また、日々は移ろいながら過ぎますね。だもんですから、話が終わった後の余韻もあり、この後どうなるのかな。こういう風になったら良いのにな等々、色々妄想してしまいますね。愉しいですね( ¨̮ )。2023/08/24

アイシャ

40
独特の雰囲気を醸し出す7編。どの作品もとても普通に見えて、じつは個性の強い人たちを描いている。その根底にあるものがじわっと温かい。最初の『ラインの二人』で惹きつけられた。少し乃南アサさんの小説を思い出した。前科はないけど。最後の落とし方がとてもぐっと来た。そして『姉といもうと』幸田文の『流れる』が好きで女中になるのが夢という姉。私もこの小説が好き。指の欠損したいもうとは知り合いのラブホテルの受付をしている。その仕事を受けた理由も好きだ。淡々と日常を生きていく二人の距離感もいい。他の作品もとてもいい2024/03/01

エドワード

38
古本屋さんの掘り出し物。森絵都さんが解説している。愛すべき変人たちの姿、と書いて、嶋津さんの「普通ということにはこだわりました。」というインタビューに椅子から転げ落ちそうになった、という文章に爆笑する。確かにごく普通の人々の日常の機微だ。工場での単純労働。クリーニング店へ来る女性。両親を亡くした姉妹。米屋の母と娘。さびれた商店街。そんな中での、人々の表情や、目線や、言葉のやりとりの妙味。イヤなヤツにも優しさがある。いい本だった。「山さんこと露口茂ばりに渋い」の比喩が嬉しい。昭和は遠くなりにけり、だ。2023/05/14

ちょん

27
優しい短編集。淡々とお話が始まって流れて終わってくだけなんですが、なんか安心するなぁ。何にも強い言葉とかメッセージがあるわけでも、気取った文章でもなくて「ただそれだけ」と感じるお話たち。あっさりホッコリ読めました✨2023/06/07

雲母

19
個性的な1冊。この作者さん並ではないな、と思わせる作品でした。独特な世界。解説中で作者はごく日常を書きたかった。と仰っていた様ですが。何処が?とても面白かった。時々ゾクっとする様な(個人的に)オカルトチックな場面もあり、ホロリとさせられる箇所もあったりして本当に個性的な作品だと思いました。短編7作。どのお話しも良かった。登場人物の心情の描き方が良い!この本(作者)に出逢えた事に感謝です。2024/03/10

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