内容説明
「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。
幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。
つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。
職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。
駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。
おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。
解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」
何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。
※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。
文庫化にあたり、改題しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
254
表題作含む7篇の短篇。どの話もね、小ぢんまりとした毎日と言うか、内輪話って感じなのね。特に劇的なドラマも無い、何処にでもありそうな日常を過ごしています。しかしながら、どれ一つとして同じものは無いって事なのですかね。至極当たり前過ぎる事ですが。ちょっと変わってはいるかも知れないけれど、何処かには居そうな登場人物の皆さん。また、日々は移ろいながら過ぎますね。だもんですから、話が終わった後の余韻もあり、この後どうなるのかな。こういう風になったら良いのにな等々、色々妄想してしまいますね。愉しいですね( ¨̮ )。2023/08/24
ゴンゾウ@新潮部
92
「襷がけの二人」がとても良かったので本作を手に取りました。短編集の7作品に登場する人物がとても個性的です。人物描写を読みながら頭の中で思い描きながら読み進めました。そしてそれぞれの関係が暖かくて良い読後感でした。2025/09/02
みかん🍊
79
改題されて文庫化の『スナック墓場』だったとはタイトルに騙された、とはいえすっかり忘れてて普通に読了したが改題して装丁も変更っていうのはやめて欲しい、普通の人々の何気ない日常ではあるが、普通の人などはいないくせがあったりそれぞれの事情や思いを抱えて生きている、最初は不穏な雰囲気を醸し出してはいるが最後は読後感良く終わる、しかしカシさんは何者かとかふぐ屋はどうなったのかとか疑問は残ったままだった。2025/04/16
ふう
69
帯に「こんな幸せな小説、ほかには見つからない!」とありました。幸せな気持ちになれることを期待して手に取った短編集。1話目の「ラインのふたり」でどんな幸せなんだろうと不安になりましたが、最後の場面で何とも言えない温かい風が吹き、そこだけ2回読み返してしまいました。あとの話も、多少癖のある人は登場しても、悪意のないやさしい日常が描かれています。どう受けとめたらいいのかわからない場面もありましたが、悪意のない人々の、自分の思いを大切にした生き方に、確かに小さな幸せをもらいました。ほかの作品も読んでみます。2024/10/14
エドワード
48
古本屋さんの掘り出し物。森絵都さんが解説している。愛すべき変人たちの姿、と書いて、嶋津さんの「普通ということにはこだわりました。」というインタビューに椅子から転げ落ちそうになった、という文章に爆笑する。確かにごく普通の人々の日常の機微だ。工場での単純労働。クリーニング店へ来る女性。両親を亡くした姉妹。米屋の母と娘。さびれた商店街。そんな中での、人々の表情や、目線や、言葉のやりとりの妙味。イヤなヤツにも優しさがある。いい本だった。「山さんこと露口茂ばりに渋い」の比喩が嬉しい。昭和は遠くなりにけり、だ。2023/05/14
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