内容説明
美女で髪を伸ばし足元は霞んで見えない―。この幽霊のイメージは、いつ、どのように生まれたのだろうか。なぜ幽霊は目に見えるのだろうか。文学・芸能、民俗学的資料に描き込まれた幽霊が誘うままに近世社会を旅し、貨幣経済、家システム、武士と庶民など、三都や城下町という「都市」の生活文化こそが幽霊の〝怖さ〟を生み出したことを考える。
目次
私たちの心が幽霊を生み出す―プロローグ/幽霊の正体(幽霊とは何か/可視化の系譜と構造)/怖い幽霊の誕生(変身する幽霊/怨念表象の系譜/一八世紀における怨念表象の転換)/幽霊が語る近世都市社会(庶民による抵抗―武士の世界と幽霊/貨幣が紡ぎ出す恨み―商人の世界と幽霊/女たちの復讐―「妬婦譚」再考)/幽霊に託した現代日本人の「思い」―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
幽霊が都市部に現れるという現象を、江戸時代の文献をもとに論じた一冊。前半部は妖怪と幽霊の関係という柳田以来の問題の蒸し返しで、面白くはあったのだが何度も論じられている故見慣れた感もしている。続く幽霊の変遷も先行研究を踏まえているらしく、どこかで読んだ事があるし。鬼への変化とか、逆立ち幽霊とか。ただ後半の出現状況の分類部分になると途端に面白くなる。金銭と幽霊の関連とか、うわなり打ちのパターンの分類とか。あと実地に即した研究、高知の怪異マップとかは非常に興味深かったのでこれを中心としたものも読んでみたいなあ。2016/10/28
Moeko Matsuda
9
本書に書かれている意見や結論が、研究結果としてどう評価されるのかは分からないが、なかなか興味深い内容だった。生活形態や社会情勢あるいは女性の立場の変化と怪綺談の変化を結びつけて考えると、今まで見えなかったことが見えてくる。やや強引な推測に思える部分もあったが、ふーむなるほどと唸るところがたくさん。神出鬼没なはずの幽霊が、なぜ人に運んでもらったりタクシーに乗ったりするのか、なんて、よく考えたら確かにすごく変だよね…。現代の日本人は一体何に怯えているのだろう、というあとがきの何気ない問いかけが妙に心に残った。2016/09/30
maqiso
2
商工業の中心地では、合理的精神・経済活動・複雑な人間関係などが発達したため、怪異の説明には妖怪よりも幽霊が好まれた。妖怪とあまり変わらなかった霊が、妖怪の凋落に従って、だれにでも見える死者の霊と変わっていった。マチとムラとで幽霊と妖怪とが棲み分けているのが面白い。とりとめはないが、色々な視点の説明があって良い。2019/11/22
rbyawa
2
g099、そもそも幽霊というものは柳田國男の興味を引かなかったために民俗学から徹底的に排除されて、という部分を読んだ時点では批判かな、と思わないでもなかったものの、その後の展開を聞いていると要するにこの人は妖怪を愛し、幽霊を排除しようとした柳田氏の気持ちもある程度わかっているのか、というところでだいぶ好印象w そしてなぜ幽霊は女なのかなぜ後妻を殺すのか、なぜ夫は生き残るのかという分析も、一つの意見としてとても面白い。マチと村という空間があり、そこに幽霊が表れる場合はマチであるという意見は納得。面白かった。2016/10/21
hiro6636
1
逆立ちする幽霊が面白かった。2020/11/29
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