内容説明
皇居にはかつてゴルフ場やプールが存在し、スポーツに親しむ昭和天皇の姿がたびたび報じられた。幼少・学業期の遊び、皇太子時代の多彩なスポーツ経験、即位後の健康維持、戦後のスポーツとの関係を、豊富なエピソードを交えて辿る。天皇の身体=玉体(ぎょくたい)を強健にするための「御運動」から、西洋化と伝統の相克や近代天皇制国家のありかたにも迫る。
目次
〈玉体〉とスポーツ―プロローグ/体質改善と御運動 幼稚園時代(幼少時代の生活と遊び/強健な身体をつくるために)/武道との出会いと遊び 学習院初等科時代(乃木院長による武道奨励/学習院が奨励したもの、排除したもの/放課後の御運動)/帝王学とスポーツ 御学問所時代(御学問所の授業/相撲と新たなスポーツ/天皇になるために)/新しい皇室像の発信 ヨーロッパ外遊(ヨーロッパ外遊/スポーツマンとしての皇太子裕仁/皇室とメディアとスポーツのトライアングル)/スポーツと伝統の相克 摂政時代(日々の御運動―乗馬・ゴルフ・テニス/さまざまなスポーツ経験/国粋主義者や右翼からの攻撃/スポーツの擁護)/権威とスポーツとの親和 昭和天皇の誕生(昭和天皇のスポーツ環境/テニスとビリヤードをやめる!?/オリンピックと武道)/大元帥としての健康維持 戦争の時代(ゴルフをやめる/天皇と馬術と東京五輪/スキーと二・二六事件/太平洋戦争下の水泳)/〈玉体〉とスポーツの戦前・戦後-エピローグ