殺生と往生のあいだ - 中世仏教と民衆生活

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殺生と往生のあいだ - 中世仏教と民衆生活

  • 著者名:苅米一志
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 吉川弘文館(2022/03発売)
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  • ISBN:9784642058148

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内容説明

浄土教が浸透して地獄の観念が広まり、動物の生命をうばう殺生(せっしょう)が罪とされた中世。狩猟や漁業が全面的に禁止となり、そこにたずさわる人々が弾圧された。実際には肉や魚を食べる矛盾を抱えつつ、なぜそのような宗教的差別が行われたのか。殺戮(さつりく)をなりわいとする武士の苦悩にも触れ、中世の文化や宗教の特質を「殺生」というキーワードから考える。

目次

生命について考える―プロローグ/古代国家と「殺生」(狩猟・漁撈の重み/仏教の伝来と戒律思想/「殺生」と「放生」をめぐる国家の政策)/中世のはじまりと殺生罪業観(地獄と極楽/白河上皇による「殺生禁断」策)/寺院・神社による「殺生禁断」(中世民衆と狩猟・漁撈の世界/寺院による「殺生禁断」/神社による自然の利用と排除の論理)/荘園と「殺生禁断」(荘園の住人と領主権力/荘園領主法としての「殺生禁断」/殺生仏果観の形成)/殺生と武士の苦悩(西大寺叡尊の殺生禁断活動/殺生人としての武士/内乱の展開と罪業観)/政策と論理のはざまで―エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

22
日本の中世社会は暴力的なエネルギーに満ちあふれる一方、そこで暮らすのは神仏を敬い殺生の罪業を本気で恐れる信仰厚き人々だった。その後者の部分にスポットを当てた一冊。ファナティックなまでに殺生戒を守ろうとしながら、運用にあたっては恐ろしくご都合主義的な面もあり、複雑怪奇な中世人の心性が浮かび上がる。とりわけ、職業的な殺人者たる武士たちがこの問題にどう向き合ったかは本書の肝。「我ながら、奇妙なものを書いてしまった」という著者あとがきも読ませる。2025/02/13

ぎじぇるも

4
もう少し真に迫ったものを期待していたが多少行政史というか、殺生を寺院や仏教から遠ざけるために社会的分業により行為を遠ざけたり、神道の専売にしたり等の運営上の方法などが詳しいかなと思う。しかし真に殺生をなくしたいと考えた為政者や僧侶の実例もあり良かった。2023/11/14

アメヲトコ

3
仏教の中世化にともなって成立する殺生罪業観。そうした社会の中で、「殺生」を生業とする狩猟者・漁撈者、あるいは武士たちはそれらとどう向き合ってきたのか。現実との折り合いを付けるための論理構築が非常に興味深いところですが、さて現代の我々はそうした切実さをどれくらい意識しているのでしょう。2016/07/29

田蛙澄

2
日本人の肉食史や殺生観にけっこう興味があってあれこれ読んでいるが、たいていが狩猟や獣食に力点が置かれるのに対して、漁撈や魚食における殺生の罪業観についてかなり詳しく記述しているのが印象的だった。 また現代人から見ると諏訪の勘文のような方便は、やっぱり昔の人も肉を食いたかったんだみたいな雑な感想で終わりがちだが、筆者はこのような殺生仏果観にむしろ殺生罪業観を前提とする葛藤や苦悩を読み取っている点が、その時代の価値観に迫る歴史の醍醐味を感じた。2023/03/21

maqiso

2
中世の仏教では殺生がタブーとされたが、神への贄や漁撈・狩猟をして生活する者や戦闘をする武士もいたため、単純な禁止や否定にはならなかった。浄めのための禁猟が領地の確定のために行われたり、神社と寺院の間で漁の取り決めがあったりと、戒律の守り方が柔軟なのが面白い。対象が広いせいか、少しまとまりがない。2019/09/01

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