内容説明
室町時代中期の僧侶。九条家に生まれ、若くして興福寺大乗院門跡(もんぜき)を嗣ぐ。醍醐寺三宝院の満済(まんさい)に政治姿勢を学びながら大和国支配に力を注ぐが、将軍足利義教(よしのり)によって追放される。復帰後は大和国内の武士たちの対立に積極的に加わり、波瀾の人生を送った。応仁の乱の戦況にも大きな関心をもち、日記『経覚私要鈔』に克明に記録したその生涯を描く。
目次
はしがき/父の遺誡と九条家での幼い日々(経覚の誕生と九条家の相続関係/九条家での幼い日々/兄満教が九条家を相続)/大和国支配と興福寺大乗院門跡(幕府と大和国との関係/京都の御成敗への配慮/三宝院満済との親交)/大和永享の乱(六代将軍足利義教のやり方/「大和永享の乱」が起こる/三宝院満済との連携/幕府軍が大挙して大和に入る)/満済の死と辺土への追放(将軍義教との間合いの取り方/満済の死と大和永享の乱の動き/上意に違背し追放される)/突然の復活、再度の没落(「嘉吉の乱」を契機に/大乗院門跡への復帰/龍田本宮への大行列/菊薗山城を自焼し、再び没落)以下細目略/安位寺から古市へ/縁につながる人びと/大乱前夜の動き/応仁の乱/戦乱の中での晩年と死/おわりに/大和国全体図と武士の分布/九条家系図/略年譜