内容説明
江戸時代末期の農政家。幼名・通称は金次郎。小田原藩領の百姓の子に生まれ、没落した自家の再興後、武家の家政再建や下野国桜町領復興に尽力し、やがて小田原藩吏や幕吏に登用される。独自の「報徳」思想・仕法を編み出し、荒廃農村の復興―「興国安民」に捧げた生涯を描き出す。近代に形成された少年「二宮金次郎」像と報徳運動にも言及する。
目次
はしがき/誕生と時代・生活環境(運命の子/足柄平野と栢山村/生命の再生産の危機/二宮一族と生家)/自家・総本家の没落と再興(自家の没落/父母との死別と兄弟の離別/伯父万兵衛家への寄食と自家再興への歩み/自家再興の成就と生活の様相/総本家再興仕法/一族の家政再建仕法)/小田原城下での武家奉公と服部家仕法(武家奉公と儒学の学習/服部家の家政再建案策定/大久保忠真との出会いと結婚・離婚・再婚/服部家の家政再建と小田原藩士救済策)以下細目略/野州桜町への道程/桜町領復興の苦難と成就/思想の体系化と報徳思想の成立/報徳仕法の広まりと幕吏就任/領主階級との確執/老いと死/近代報徳運動と少年「二宮金次郎」形象/二宮尊徳関係略系図/略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
11
お国のためにわが身を削って献身する孝子良民の模範として利用された金次郎少年だが、歴史的には農村の貨幣経済化に対して主体的に適応した近代的精神の持主であったらしい。積小到大のみならず米相場なども利用した開発金融スキームが報徳仕法の中心。道徳的な教訓も金融制度に必要な信頼形成のためだ。興味深いのは米金の無限の循環が生命をはびこらせるという思想が二宮にも見られる。カルヴァン主義のように革命思想には至らないが、幕府や藩の論理と報徳思想の論理の衝突があって、官側は報徳思想が民衆叛乱を正当化しかねないと危惧していた。2023/10/28
相米信者
4
二宮尊徳(金次郎)の数々のエピソードは作られたものであり、当時の国家において「模範なる小臣民」として尊徳は利用されていた。だが、徹底した戦略家であり、「興国安民」実現するために報徳思想を説き、幾多の疲弊した農村を復興させた功績は色褪せない。報徳思想をなす一元観、一円観の獲得は尊徳が妻と性交してる時に体感したのではないかという著者の論説はとてもユニークである。本書は尊徳の人生や思想だけでなく、息子の弥太郎、孫の尊親らのファミリーヒストリー、弟子の富田高慶らの軌跡などが学べて、とても充実している。2025/05/30
-
- 電子書籍
- 生き返るために異世界でセックスしてきま…
-
- 電子書籍
- オフレコメイド~年下小悪魔アイドルの家…
-
- 電子書籍
- プライドと愛と【分冊】 1巻 ハーレク…
-
- 電子書籍
- 夜の名前を呼んで【分冊版】 13 HA…
-
- 電子書籍
- 週刊ダイヤモンド 13年8月3日号 週…