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内容説明
米粉(こめこ)をけっして使わない、米菓を100%のお米から作る----愚直なまでに真面目な会社の、縁と感動のストーリー。
「台湾で、私たちの手で、『サンフレンド』を作らせてほしい」台湾の若者3人が雪の降りしきる越後岩塚を訪ね、米菓作りの技術提携を社長に懇願した。社長は断るためにあえて困難な宿題を出す。が、若者はあきらめず困難を克服した。それでも社長は断った。が、彼らの熱情が、かつての我がことのように思えた。そして足かけ3年----。再びやってきた若者たちに社長はついに言った。「これも何かの『縁』でしょう」この瞬間から日本・台湾・中国にかかる、米菓をめぐる巨大な橋の運命が動き始す。社長の名前は槇計作(まきけいさく)。若者の名前は蔡衍明(さい・えんめい)----中国市場を席巻する巨大食品グループ旺旺集団の総帥である。2020年12月、豪雪で通行止めとなった関越自動車道で、配送ドライバーが周囲の自動車に運搬中の煎餅を食料として配ったことがSNSやインターネットで話題となった岩塚製菓。創業75年、粘り強さと実直さの強みと秘密。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
78
新潟の豪雪地帯は冬になると出稼ぎに出る人が多くて、家族揃って冬を越せる地元に企業を作ろうと立ち上がったのが岩塚製菓の創業者たち。彼らの会社への思い、地域と一帯になり地元に尽くす思い、社員たちへ福利厚生。その技術指導の提携に40年前、台湾から訪れた若者に最初は断りながら、結局承諾することに。そして、今では台湾の会社が世界一の米菓メーカーに成長。グローバルな視点でも読ませながら、中越を襲う幾多の災害にも立ち上がり、創業75周年を迎える会社の物語。<米を洗う>作業の意味を知る事ができました。2022/07/28
けんとまん1007
48
米菓の会社というと、新潟の3社が浮かぶ。地元のスーパーで、手に入りにくいものもある。そんな一つ、岩塚製菓さん。まさしく、地域に根差すということの意味を、実践している会社だとわかった。そして、その根底にある哲学を考える。いい意味でのブレなさだと思うが、変化の激しい経済環境の中で、それを維持することは生半可ではできない。小さな地域の点と点を結ぶこと、それを少しずつ広げていくこと。米菓に限らないことではあるが、一つの商品を作ることへのこだわりの凄さは、でき上ったものに現れるということを再認識した。2022/09/26
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
15
ごめん、お煎餅がこんな丁寧に作られてるって知らんかった。タイトルの「米を洗う」、米菓とは当然お米から作られたもの、その最初の工程が洗米であるのは岩塚製菓だけとのこと。他メーカーは米粉を仕入れるとこからがスタートなのだそう。洗米は当然とぎ汁が排水として出る。いわば汚染水をどう処理するかから始まる循環の仕組みが実に大掛かり。新潟県民が田中角栄を推したのは雪害対策をしてくれたから。それと同じく(同じなのか?)岩崎製菓も雪で閉ざされた土地に産業をという思いで成長してきた企業。その熱意は海を越え台湾にも米菓の力が。2022/06/30
Qfwfq
2
我が家のお茶請けにもよく登場する岩塚製菓のせんべい。大好きな岩塚にこんなにも様々なドラマがあったなんて!! 岩塚製菓のすべての出発点は「農産物の加工品は原料より良いものはできない」ただし「良い原料からまずい加工品もできる」だから「加工技術はしっかり身につけなければならない」という言葉が繰り返し言及される。“国産米100%”という選択は競合との差別化としてよりも、日本の農業と共に生き、未来へとつないでいくという哲学と行動原理に基づいたもの。 他社とはひと味抜きん出た岩塚製菓のヒミツがよ〜く味わえる一冊。2024/04/23