ちくま新書<br> 縄文と世界遺産 ──人類史における普遍的価値を問う

個数:1
紙書籍版価格
¥924
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま新書
縄文と世界遺産 ──人類史における普遍的価値を問う

  • 著者名:根岸洋【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/04発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074720

ファイル: /

内容説明

2021年7月「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に加わった。日本列島に存在した「縄文文化」のうち、なぜ限られた地域の遺跡群が世界遺産に選ばれたのか。東北地方を研究対象とし、今回の世界遺産登録にも携わった考古学者が、海外にある同時代の世界遺産との比較などを通して「縄文」を新たな視点から読み解く。さらに、世界遺産というプロジェクトが体現する文化多様性の視点から、「縄文」の人類史における普遍的価値について考える。

目次

はじめに
縄文と世界遺産
なぜ「縄文文化」なのか
本書の構成
第1章 縄文を問い直す
1 問題の所在
「縄文文化」とは何か
「縄文文化」の複層性
2 縄文遺跡群と世界遺産
縄文という名称
なぜこの地域なのか
推薦の単位としての「地域文化圏」
世界遺産登録を受けて
3 「縄文文化」を考える
考古学における「文化」とは何か
ベル・ビーカー土器
縄文土器の誕生
縄文土器にみる複層性
「縄文文化」の中に「文化」を設定できるのか
「縄文文化」は海外にどう伝わっているのか
4 「縄文文化」論に向けて
縄文遺跡群に寄せられる違和感
概念の整理
第2章 先史遺跡と世界遺産
1 世界遺産のイメージ
古代文明だけではない世界遺産
先史遺跡の特徴
2 世界遺産に選ばれるまでのプロセス
「顕著な普遍的価値」とは何か
世界遺産一覧表に記載されるまで
諮問機関による調査と勧告
3 先史時代の遺跡を世界遺産にするということ
世界遺産一覧表にみる不均衡
シリアル・ノミネーションと縄文遺跡群
先史時代の遺跡と評価基準
4 地下遺構と世界遺産
地下に残された世界遺産
日本の史跡整備と地下遺構
復元をめぐる国際憲章
縄文遺跡群と復元
5 縄文遺跡群と景観
考古学的景観
土地利用のあり方と植生復元
世界遺産の真実性
現代における考古学的景観
6 考古遺物と世界遺産
動産を世界遺産にすることはできないのか
縄文遺跡群と考古遺物
新たな推薦の形
第3章 世界の先史時代との比較
1 比較の視点
比較考古学とは何か
世界遺産推薦のための比較研究
「縄文文化」と「新石器文化」
「縄文文化」起源論とその後
「縄文文化」の比較考古学
2 世界遺産一覧表における縄文遺跡群
人類史年表をつくる
先史時代の世界遺産
世界遺産一覧表中の先史遺跡
比較の観点
3 西アジアとの比較
西アジア先史時代の概要
「ナトゥーフ文化」の遺跡群
ギョべックリ・テペ遺跡
新石器時代の世界遺産
4 ヨーロッパとの比較
中石器時代・新石器時代と世界遺産
巨石記念物の世界
ストーンヘンジはどのように作られたか
アルプス周辺における先史時代杭上住居群
5 アメリカとの比較
パレオ・インディアン期
マウンド・ビルダー伝統と世界遺産
ポバティ・ポイント遺跡
6 東アジアとの比較
東アジアおよび東北アジアの概要
良渚古城遺跡
紅山文化遺跡群
第4章 縄文遺跡群と「縄文文化」
1 世界遺産と文化多様性
本書の問い
「縄文文化」と普遍的価値
ユネスコと文化
多様な「新石器文化」像
縄文遺跡群に期待されたこと
2 「縄文文化」の複層性と多様性
「縄文文化」の複層性
「縄文文化」の多様性
3 「北海道・北東北の縄文遺跡群」
「津軽海峡文化圏」
土器出現期
縄文早期の集団移住
海峡を越えた大規模記念物
管理・栽培と農耕の伝播
津軽海峡を越えて
4 過去の文化への眼差し
先史時代をどう認識するか
「縄文文化」の基層文化論
縄文時代以後の文化領域
あとがき
本書の内容
これまでの経緯
「縄文文化」とは何か
「北海道・北東北の縄文遺跡群」が果たすべき役割
謝辞
巻末図
巻末表
出典一覧
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chietaro

8
日本や世界の他の地域の先史時代と、北海道・北東北の縄文遺跡群との比較、新たな見方を得たと感じました。津軽海峡を跨いで伝播したものについてはロマンを感じます。三内丸山遺跡は行ったので、独特な文化に触れることができて嬉しいです。2023/03/18

いくら丼

5
伊勢堂岱遺跡のお土産。うわああ、見よこの充実した参考文献の数々、すごい、すごい! 私は94年生まれで、丁度UNESCOでグローバルストラテジーが採用された年から生きているので、当たり前のように受け入れたし、文化的多様性にも馴染みがある。でも、「文化」の見方も昔は違ったわけだな。まして、せか検などで多少なりとも特殊な訓練(?)を受けていない一般の人の理解度や、日本という国主体での視点になると、世界遺産の見え方も違っているわけだ。私は「世界遺産には北海道・北東北以外も入れるべき」みたいに言われても、逆に困惑↓2023/07/13

cocomero

2
縄文と呼ばれる過去の事象は、世界的視野のもとに眺めてみれば、どのように位置けられ、どのような特性を有しているか。なかでも、世界遺産リスト記載条件として、どのようなところが、どのように顕著な普遍的価値を持つか。北海道・北東北の縄文遺跡群という、世界遺産リスト記載済みの資産を事例に論じられる。資産の独自性は、類似形態の他資産との比較を通して明らかになるわけだが、その場合、当の独自性のなかに、果たして世界に通用する普遍性をみいだすことができるかが問われる。それこそ、多様性を謳う世界遺産で肝となるところだからだ。2022/08/31

takao

1
ふむ2023/07/05

Akira Yoneyama

1
縄文時代の生活や文化を知りたかったが、どうして世界遺産に登録されたかの解説が本書の目的でありその点があまり参考にならなかった。2023/05/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19479226
  • ご注意事項