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内容説明
2021年7月「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に加わった。日本列島に存在した「縄文文化」のうち、なぜ限られた地域の遺跡群が世界遺産に選ばれたのか。東北地方を研究対象とし、今回の世界遺産登録にも携わった考古学者が、海外にある同時代の世界遺産との比較などを通して「縄文」を新たな視点から読み解く。さらに、世界遺産というプロジェクトが体現する文化多様性の視点から、「縄文」の人類史における普遍的価値について考える。
目次
はじめに
縄文と世界遺産
なぜ「縄文文化」なのか
本書の構成
第1章 縄文を問い直す
1 問題の所在
「縄文文化」とは何か
「縄文文化」の複層性
2 縄文遺跡群と世界遺産
縄文という名称
なぜこの地域なのか
推薦の単位としての「地域文化圏」
世界遺産登録を受けて
3 「縄文文化」を考える
考古学における「文化」とは何か
ベル・ビーカー土器
縄文土器の誕生
縄文土器にみる複層性
「縄文文化」の中に「文化」を設定できるのか
「縄文文化」は海外にどう伝わっているのか
4 「縄文文化」論に向けて
縄文遺跡群に寄せられる違和感
概念の整理
第2章 先史遺跡と世界遺産
1 世界遺産のイメージ
古代文明だけではない世界遺産
先史遺跡の特徴
2 世界遺産に選ばれるまでのプロセス
「顕著な普遍的価値」とは何か
世界遺産一覧表に記載されるまで
諮問機関による調査と勧告
3 先史時代の遺跡を世界遺産にするということ
世界遺産一覧表にみる不均衡
シリアル・ノミネーションと縄文遺跡群
先史時代の遺跡と評価基準
4 地下遺構と世界遺産
地下に残された世界遺産
日本の史跡整備と地下遺構
復元をめぐる国際憲章
縄文遺跡群と復元
5 縄文遺跡群と景観
考古学的景観
土地利用のあり方と植生復元
世界遺産の真実性
現代における考古学的景観
6 考古遺物と世界遺産
動産を世界遺産にすることはできないのか
縄文遺跡群と考古遺物
新たな推薦の形
第3章 世界の先史時代との比較
1 比較の視点
比較考古学とは何か
世界遺産推薦のための比較研究
「縄文文化」と「新石器文化」
「縄文文化」起源論とその後
「縄文文化」の比較考古学
2 世界遺産一覧表における縄文遺跡群
人類史年表をつくる
先史時代の世界遺産
世界遺産一覧表中の先史遺跡
比較の観点
3 西アジアとの比較
西アジア先史時代の概要
「ナトゥーフ文化」の遺跡群
ギョべックリ・テペ遺跡
新石器時代の世界遺産
4 ヨーロッパとの比較
中石器時代・新石器時代と世界遺産
巨石記念物の世界
ストーンヘンジはどのように作られたか
アルプス周辺における先史時代杭上住居群
5 アメリカとの比較
パレオ・インディアン期
マウンド・ビルダー伝統と世界遺産
ポバティ・ポイント遺跡
6 東アジアとの比較
東アジアおよび東北アジアの概要
良渚古城遺跡
紅山文化遺跡群
第4章 縄文遺跡群と「縄文文化」
1 世界遺産と文化多様性
本書の問い
「縄文文化」と普遍的価値
ユネスコと文化
多様な「新石器文化」像
縄文遺跡群に期待されたこと
2 「縄文文化」の複層性と多様性
「縄文文化」の複層性
「縄文文化」の多様性
3 「北海道・北東北の縄文遺跡群」
「津軽海峡文化圏」
土器出現期
縄文早期の集団移住
海峡を越えた大規模記念物
管理・栽培と農耕の伝播
津軽海峡を越えて
4 過去の文化への眼差し
先史時代をどう認識するか
「縄文文化」の基層文化論
縄文時代以後の文化領域
あとがき
本書の内容
これまでの経緯
「縄文文化」とは何か
「北海道・北東北の縄文遺跡群」が果たすべき役割
謝辞
巻末図
巻末表
出典一覧
参考文献
感想・レビュー
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