ちくま新書<br> こんなに変わった理科教科書

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ちくま新書
こんなに変わった理科教科書

  • 著者名:左巻健男【著者】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 筑摩書房(2022/04発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074706

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内容説明

カエルの解剖、ショウジョウバエの飼育、有精卵を使った成長観察、かいちゅうや十二指腸虫の感染経路の写真付き解説、たくさんの昆虫や季節の植物など、いまはもうない理科授業。約10年ごとに、理科は大きく変わってきた。新発見や説明法の見直しもあって、かつての常識がいまは非常識だったりすることもある。生活密着の50年代、科学立国を目指した60年代、米ソ冷戦の影響を受けた70年代まで、理科はどんどん難しくなったが、詰め込み教育への反省から80年代以降は精選、厳選へ。けれど2010年代以降、ゆとり教育批判で再び高度化した。理科教科書で戦後日本のあゆみを読み解く。

目次

はじめに
第一章 理科教科書の七〇年
七つの区分で理科教科書を読みとく
戦後のスタートは墨塗り教科書から
文部省が編集した『私たちの科学』『小学生の科学』
『小学生の科学』は一学年に五単元
中学『私たちの科学』は一学年に六単元
目指せ科学立国──系統学習時代
スプートニク・ショックは日本も直撃──現代化の時代
ゆとり教育は八〇年代から──精選さらに精選、そして厳選
「個性化・多様化、さらなる精選」と「厳選・ゆとり」
厳選とゆとり教育の時代の理科教科書
授業時間も教育内容も充実
高校の理科教科書はどうだったか
米国の現代化運動が日本に影響
高校の理科は選択制
第二章 日本は科学の国という夢──超難しかった物理・化学
実験主体の豊かな授業
長期間教科書に残り続けた「すなぐるま」
小学校で習った滑車と輪軸
中学で運動の第二法則を学んだ高度な時代
中学校物理分野は測定、有効数字や誤差から学習
物体の質量と加速度の間にある関係
放射能・放射線を理解させていた六〇年代
大きな転換点は、福島第一原子力発電所事故
金属の学習はどんどん軽い扱いに
誤解させる実験「石けん水で物の溶け方」
水とエタノールを足した体積が合計にならない理由
意欲的な理科授業の功罪
原子・分子は早期導入が身につく
消えた周期表──周期表はなぜ大切か
中学の電池はボルタ電池からダニエル電池へ
イオン化傾向とダニエル電池
第三章 君はかいちゅうの感染方法を知っているか──体験で学ぶ生物・地学
小学生が学んだ伝染病
理科で学んだハエ退治
パンのカビ、森のキノコ
いつまで化石を教えたか
解剖授業の今昔
クラスで育てた有精卵とショウジョウバエ
小学一、二年生が学んだ大量の植物の種類
六〇年代までの小学低学年は大量の動植物を学んだ
揺れる性教育
遺伝の法則は中学に前倒し
メンデル遺伝とDNA学習で教えるべきこと
生物の分類の細分化
生態系の「分解者」の定義
かつては地動説の立場で説明していた
山ができるしくみ
第四章 教科書の単位・定義・用語はいつ、なぜ変わったか
メートル法でさえ定着は大変だった
現在の教科書検定基準は国際単位系
高校物理教科書の力の単位の移り変わり
単位ニュートンは二〇〇二年から登場
圧力の単位パスカル
体積の単位リットルは から大文字Lに
「カロリー」から「ジュール」へ
カロリーは推奨しがたい、もっともな理由
電気用図記号の「抵抗」
陽イオンと陰イオンで呼び方を変更
中学校理科から「化合」が消える
遺伝用語「優性、劣性」は「顕性、潜性」へ
富士山は活火山
地質年代の変更
地震の震度、体感から震度計へ
冥王星が惑星の仲間から外れた!
銀河系の図が変わった!
第五章 消えた理科実験を考える
小学生と炎
かつてより手軽になった実験器具
分子の大きさを求める実験
光電池、発光ダイオード、コンデンサー
消えたクルックス管の羽根車実験
図工・美術や技術・家庭とのすみ分け
筆者が考える理科工作
備長炭電池(木炭電池)
カルメ焼きやダイヤモンドの燃焼
第六章 教科書づくりと学習指導要領
教科書使用開始のスケジュール
小中学校の教科書は無償
学習指導要領とは何か
あの学習指導要領はどう作られたか
教科書検定は一発では合格しない
「検定外理科教科書」をつくる活動
検定教科書と検定外教科書の相違点
中学理科で身につけるべきこと
学習指導要領(試案)の精神へ
第七章 理科の教え方学び方
知りたがりを育てる
センス・オブ・ワンダー
小学校低学年「生活科」は何が問題か
科学を学ぶ目的
理科は、使わない知識か?
学校は、文化の総体を次世代に伝えるところ
科学文化をたのしむ
理科授業はいくらでも面白くできる
この授業で質量保存の法則を学ぶと……
楽しければいいわけではない
カルシウムは何色?
知識軽視とプロセス固定化の弊害
でっち上げの「科学の方法」
意識的に生活との関連を
当たり前のキーワード「習得」「活用」「探究」
高校化学、中心は物質世界
化学の本質的面白さとは
学校に広がるニセ科学
「水からの伝言」とは?
どのように写真を撮ったか?
EMは万能な微生物群か?
とどのつまりは「EM生活」への誘い
物理は、理の学問
物質の特性を学ぶのが化学
生物は大小さまざま
かけがえのない地球を学ぶ地学
おわりに
参考文献、協力者一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kitten

15
図書館本。高1の娘の教科書が、昔とは変わってるなぁと思ったので借りてみた。最近の教科書がどう変わった?という話かと思っていたが、もっともっと長いスパンでの理科教育の話だった。理科の話というよりも、教育とは?という話かな。理科の勉強なんて役に立たない、という人もいるし、実際に役に立ってない人も多いんだけど、ちゃんと勉強していれば、変な陰謀論に引っかかることも少なくならないかな?少なくとも「対照実験」という言葉は、全員が理解できるような教育であるべき。2022/10/14

そうたそ

14
★★★☆☆ 自分が学生だった頃から比べると、今の理科の教科書はこんなに変わっているのかと驚くようなことばかりだった。その一方で、自分の知っている以前の理科の教科書の内容にもまた驚き。何がいいとは一概には言えないが、我が国の理科教育も日々変わってきているのだな、と。2022/05/28

tolucky1962

9
戦後の小中学校理科教育課程・教科書は7つの時代に分けられる。生活重視の理科は1961から系統化現代化されたが,1980から内容削減・ゆとりへ,2011から揺り戻しで内容充実の方向へ。1980からの精選・厳選・ゆとりから42年。この間,内容が削減された理科や数学の影響で日本の産業・技術力の低下が起きている。理科教育充実時代の子供たちがもうじき大学にやってくる。その後にもう一度日本の技術が再生することを祈る。2022/04/30

スターライト

8
時々ニュースで、教科書や履修科目の変更が報道されていたので、自分が学んでいた頃とは違ってきているのだろうなと思っていた。本書は戦後の理科教育を小中学校にしぼって、その概況、物理・化学・生物・地学の各領域、実験内容の変遷などを紹介。小学校低学年にはそもそも理科という科目がないとか、実験にはマッチを使わず点火器具を使用するとかには驚き。初期のアメリカの影響、その後の反省と産業界からの要請などに翻弄される様子は、おそらく理科以外の教科も同様だろう。知識の寄せ集めではなく、基礎的な力をつけることの大事さを痛感。2022/05/11

くらーく

5
まあ、現代化の時代だったけど、ほとんど覚えていないかもなあ。どの教科もだけど、特に理科は家庭環境や本人の興味によって変わりそうだし。理科で好きなジャンル、分野が出来れば、その他はどうでも良いのかと思うわ。 そういう意味では、幅広く興味を持たせられるような教科書であれば良いのでしょうけれど。 それにしても、ずいぶんと用語や単位が変わったものですなあ。理科だけじゃ無いけど、昔の知識でとどまっていてはいけないのですねぇ。死ぬまで勉強?いや、無理だわ。2022/06/22

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