内容説明
元大使が明かす、知られざるアフガン裏面史
本書は、大学卒業後、ダリー語修得のためカーブル大学に留学して以降、一貫してアフガニスタンに関わり続けてきた元大使によるメモワール的なドキュメントである。現地にどっぷり浸かり、体験し、長年にわたって蓄積した知見をもとに書き下ろした。
物語は、カーブル大学在学中の1978年に起きた軍事クーデターから始まる。直後のソ連軍による侵攻から、ムジャーヒディーン同士の内戦、ターリバーンとアル・カーイダの出現、9.11同時多発テロ事件を経てターリバーン政権崩壊へと続く一連の流れのなかで中心的に語られるのは、「アフガン人の生き方を守るため」の戦いに殉じた3人の人物―ターリバーンの創設者ムッラー・ウマル、北部同盟の司令官アフマッドシャー・マスード、義賊とも英雄とも評されるマジッド・カルカニー―だ。本人の肉声を聞き、関係者と議論を重ねた著者の視点や評価は、主要メディアから伝わる情報とはときに大きく異なる。
ジャーナリストによるルポや研究者による分析とは一線を画す、異色のノンフィクション。
宮家邦彦氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)推薦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
25
「アフガン侵攻」と言う本は1979年から、この本はその数年前から(78年の軍事クーデター等)9.11へと続きます。657年に来日した吐火羅人とはアフガニスタンから来た人たちのことか。2021/12/31
たまご
16
カブール大学留学、外務省や国連ミッションなど40年以上中央アジアに関わる著者の、1977年以降のクーデター、ソ連アフガン侵攻、ムジャヒディン、タリバン、9.11、中村哲医師のことまでかかれた、現代アフガン史紹介。アフガン人のノムースという考え方と関係なく価値観の押し付けや利益しか考えていない他国の干渉に、アフガンで、利用しつつ独立を守ろうとする人々、自分の利益に振り回される人々、そして巻き込まれる民衆。この混乱を納めるための一つが中村先生の灌漑事業だったと思うと、本当に残念でなりません。2022/02/06
buuupuuu
10
大国の介入に翻弄され、内戦で疲弊し、荒廃していくアフガニスタン。その平和を取り戻そうと立ち上がり、志半ばで倒れていった人々を描く。カーブル大に留学し、その後も外交官としてアフガニスタンに関わり続けてきた著者だけに、ときに自身の回想を交えて語られるエピソードが具体的で興味深い。人々の善さと過ちを冷静に見る視線が好もしい。ターリバーンの快進撃やその指導者だったウマルの伝説なども、その真相を等身大の形へと描き直している。ビンラディンに騙され罪もない人々の殺害に手を貸してしまったと懺悔するウマルに虚しさを感じる。2022/01/27
パン太郎
4
主観はあるにしても著者はアフガニスタンの滞在経験があり、文章も読みやすく興味深い内容です。ニュースで見る記号としての国名ではなく、そこに名前と顔を持った人たちがいて、経験したことのない自然や文化があることを理解することで、いろいろな不具合を回避できると信じたい、と思わされました。2022/04/10
A.Sakurai
4
アフガニスタン専門家の外交官によるアフガン現代史。しかし、証拠を集め、検証するドキュメントや歴史的アプローチでなく、あくまで自身が体験したことの証言であり、解釈も主観的だ。記載されるエピソードの真偽もちょっと怪しい。むしろアフガンの「文化が違う」空気を示すものだ。空気を汲み取らないと理解もできない。だからアフガニスタンの情勢の事実関係を知るには役に立たないが、理解には役立つ。アフガンの平和のために取り組んだ4人がまったく別の考えと行動を取ったその背景を書いたということだろう。2022/02/27
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