内容説明
『怪談に学ぶ脳神経内科』で、読書界を驚愕させた詩人にして脳神経内科医が、今度は「臨死体験」「体外離脱」といった、かつては「語ることすらタブー」とされた現象に挑む。そこで見えてきたのは、人生最後の瞬間を迎えたときに脳や神経細胞がどのようにその苦しみ、痛み、悲しみに立ち向かうかという、感動の物語だった!
目次
まえがき――「死の医学」と「生きようとする力」
第一章 魂はさまよう――体外離脱体験は「存在」する
第二章 「暗いトンネル」を抜けて――臨死体験はなぜ起きるのか
第三章 譲り渡される命と心――誰が「生と死のボーダーライン」を決めるのか
第四章 生と死が重なる時――「看取り」と「喪」はつながっている
第五章 カゴの中の自由な心――私たちは「幻想」の中で生きている
第六章 擬死と芸術表現――解離症と「生き抜く力」
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
31
臨死体験、憑依、金縛り、体外離脱など、いわゆるオカルトといわれることもある現象を、科学的に分析した一冊(著者は詩人&医師の駒ヶ嶺朋子さん)。脳科学研究が進んだことで、金縛りなどの現象は「この脳のこの部分がこうなって」といった感じ深くまで判明しているようで、勉強になった。前半は不思議現象の脳科学的分析、後半は死生学の話になっている、本書を読むと、いざ金縛りとか起こった場合にも慌てることがなくなるかも。金縛りの経験者は結構いると思うので、発生のメカニズムを知りたい人にオススメ。2022/03/18
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
26
死にまつわる様々な現象を医学で解明しようとする世界的潮流を教えてくれる、脳神経内科医による科学エッセイ新書。 死生観を科学的な見地から醸成しうる材料をくれる、良い本でした。2023/05/11
rokoroko
20
オカルトや怪談を医学的に解明してくれる本。幽体離脱がおもしろくてこんな本あったんだと思う2022/12/24
ATS
16
幽体離脱や憑き物などを科学的に探索しながら死生観についても語るエッセイといった感じ。前庭覚障害(めまい症)の人には幽体離脱や離人症を有する人が多く重力の入力障害が関連している可能性もあり重力が心身一体の同一性を担保しているのではないかという考察は興味深かった。あと今世紀にはいって確立した抗NMDA受容体脳炎という疾患も面白かった。風邪のような軽症状から数日後に幻覚や妄想をきたすというもので昔の神懸かりや狐憑きなどもこの疾患のせいなのかもしれない。エクソシストのようなブリッジもこの疾患に起因するのかも。2024/05/01
B.J.
13
ピカソの肖像画は、画家が「人物を見るとはどういうことか」を徹底的に突き詰めた結果なのではないかと思う・・・本文より2023/06/07