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内容説明
学校でも刑務所でもない、少年院における教育の可能性とは?
ベストセラー参考書の著者でもある注目の数学指導者と数学教育の専門家、少年院を知り尽くした元法務教官が、改正少年法施行を目前にそれぞれの立場から少年院における数学教育の意味を論じる。
「先生、自分も大学行けますか?」「あ~、もっと早く少年院に来てればよかった!」。
なぜ数学こそが、少年たちを立ち直らせるきっかけとなるのか。
「非行少年」たちの真実と数学の魅力に迫り、可能性のある子どもたちで溢れる少年院の在り方、数学教育の重要性を描く一冊。
目次
まえがき 高橋一雄
第一部 数学を学ぶ、非行少年の姿 高橋一雄(プロローグ 五十の瞳――突き刺す視線
第一章 少年院との出会い
第二章 少年院のさまざまな風景
第三章 私が出会った少年たち
第四章 調査・統計から見えてくる、少年たちの学力・学習に対する想い
第五章 入院少年が必要とする教科指導とは)
第二部 矯正教育における数学教育の意義 瀬山士郎(第一章 矯正教育との出会い
第二章 数学を学ぶということ
第三章 数学教育が矯正教育でできること)
第三部 「矯正教育の意義」および「少年の姿と現場の苦悩」 村尾博司(第一章 少年院とは
第二章 少年院でどういった教育がなされているか
第三章 教科指導における数学教育の取り組みとその意義
第四章 少年院における基礎学力の現在地とその行方)
あとがき 村尾博司
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
69
数学を学ぶことの意義を再認識。それは、国語にも通じると思う。自分で考えること、それを言語化すること。その基礎体力として、数学による抽象化と論理性、国語による言葉の意味と表現。数年前から、学ぶとはどういうことかを考えるようになった。基本は自発的に、そして、その環境をいかに作るかだと思う。中にあるこのフレーズ「心の扉には取っ手は内側にしか付いていません。外側には取っ手がないのです」ここなんだと思う。北風と太陽ではないが、そんなことかなと思う。2022/09/14
クリママ
49
塾講師である数学指導者の高橋一雄氏、大学教授である数学教育の専門家の瀬山士郎氏、少年院の元法務教官、元院長の村尾博司氏の、少年院における数学指導の意義、方法などについて。前記の2氏の、中学数学の具体的な指導方法とともに、実際に使うことのない数学を学ぶことの意義=抽象的にものを考えることの第一歩になることと、数学を学び始めた少年たちの変化について書かれている。そして、最後の村尾氏の少年たちへの思いは熱く、優しく、心打たれるものがあった。「ケーキの切れない少年たち」にも言及しながら、発達障害のあったニトリ⇒2022/12/06
みなみ
10
少年院で教科指導として数学を教えることは何をもたらすか。少年たちの学力は小学生レベル、いわゆる「小4の壁(算数の抽象思考が始まる学年)」でつまづいているのだが、現実には彼らは中学生高校生であり、小学生のように教えるとプライドを傷つけマイナスになる。そこで高橋氏や瀬山氏は少年たちに方程式を教える。抽象思考を伴う数学は一部の政治家がいうような「役に立たない」ものではなく、理論的思考を養うのに有効だということだ。少年院に入る子どもとはどういう環境にあるか?その後彼らはどうなるのか?なども知ることができた。2023/03/06
ユウティ
7
方程式思い出したいなと読んだら、全くそういう本ではなくて驚いた。なぜ数学を学ぶのか、数学を学ぶとはどういうことか、といった勉強の本当の根っこの部分が掘り下げられていた。数学を学ぶことで論理的な思考や想像力や抽象的な概念を獲得できる。それらは自分の考えや経験を文章化し、内面を言語化することの支えになる。生きていくために必要な技能とも言える。目に見える形で役に立つかどうかばかり気になり、こんな風に考えたことがなかった。感想書ききれない。他にもこういった本があるなら読んでみたいな。2023/03/23
てくてく
7
少年院の教科教育として数学を教え続けた体験とその効果、そこから得た考察などがまとめられている。特に外部講師としてかかわった髙橋一雄氏と瀬山士郎氏が執筆した部分においては、数学の学ぶことの重要性、少年院で学ぶこと、高卒認定試験に挑戦することがその少年にとってどのような効果があったかを知ることができる。彼らを結び付けたような存在の村尾博司氏の執筆部分の、諸般の事情があって少年院や更生保護施設にやってきた人の弱さや躓きやすさをしっかり受け止めている感じから、そういう大人が多くなることが大事なのだろうと思った。2023/03/11
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