内容説明
悲劇と喜劇はいつも表裏一体だ。
寂しさが頂点に達したとき、私は、
マンションの前を通る
電車に手をふったりする。
歳を追うごとに私の親切には
コクが出てきている、はずだ。
私は、親友というものをもてない。
母と海を介して
いまだにつながっているのだ。
心の中の感傷のドアを閉じる技だけ
歳をとるほどうまくなる。
わかっているのは、まだまだ
途中なのだということだけなのだ。
有史以来、そして、永遠の謎。
人生の謎を、丸裸にすべく挑んでいたら、
おのれが丸裸になっていた…。
松尾スズキ、渾身のエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エリ本
6
タイトルに惹かれて読んだ。「人生の謎」知りたかったから。でも松尾さんも分からないみたい。そうか皆分からないんだなぁ。本当「人生ってなんなんだ(文の締めくくり)」ですよ。2023/11/08
sazen
6
★★★★縦長の変わった版型なのが、何だかセンスを感じさせる。著者に起こった人生の謎について書かれている、とのことだが謎というより口の中に広がる渋み、みたいな内容。ったくよう、なんなんだよ。と言いながらも現実を生きる大人の渋み。コロナ禍での劇団の舞台裏で、神棚に祈ったという話が印象的。公演できたことを感謝するんではなく、「もうこれ以上災難を持ち込むな!」という想いで祈ったと。わかる、めちゃくちゃ分かる。2021/11/19
kane_katu
6
★★★☆☆縦長の版型がなかなかオシャレ。コロナ前からコロナに至るエッセイ。既に知っている内容もあったけど、文章が上手いので読ませる。コロナ禍での舞台の上演の裏側はなかなかに辛そうだった。2021/11/05
ぱぴー
5
松尾スズキさんが好きで、なんとなく読み始めたがかなり面白かった。コロナ禍で演劇ができない状況や濃厚接触者になった話は、今読むと懐かしさすら感じますが、確かにそんな生活でした。子供の頃にタイムスリップの真似して遊んでた人の話が一番好きかも。2024/03/02
夏野
4
エッセイ集。著者のエッセイは、日常を淡々と語りながらもどこか面白さと憂愁を感じさせる。以前のエッセイは面白さが強かったが、今回は題材が人生のせいか、憂愁が強い感じはする。しかし、著者と共に人生をふり返りたくなったり、いろいろ考えさせられた。コロナ禍の演劇上映の大変さも感じた。松重豊と共演したときの回も印象的だった。2021/12/29