内容説明
大正時代末期。作家・児島蕭々の書斎には、九鬼、蒲池ら作家仲間や友人たちが夜ごと集う。蕭々の五歳になる娘、麗子も、岸田劉生の「麗子像」そっくりの恰好で、大人たちの輪の中に加わっている。益体もない話で過ぎてゆく幸福な時間。しかし、この時間も、皆が愛する九鬼に色濃く落ちる死の影も、誰にもとどめることはできない……。芥川龍之介、小島政二郎、菊池寛をモデルに、去りゆく人と終わりゆく時代への愛惜を込めて綴る傑作長編。泉鏡花賞受賞作。〈解説〉久世朋子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lumi
19
4月頃に読了していたけれどあまりの良さに感想を書けなかった。今回は数ヶ月後の再読。「蕭々館」での高等遊民達の日常。小島政二郎は児島蕭々、芥川龍之介は九鬼さん、菊池寛は蒲池さんと実在した文豪がモデルの彼らを、読者は蕭々の娘である麗子を通して見守る。麗子は5歳だけれど物凄く早熟で女である自覚をもっている。九鬼さんを慕う麗子視点で九鬼さんが描かれているから読んでいる私も九鬼さんに恋してしまう。 2022/08/14
更夜
4
久世光彦さんの小説は何重にも意味が含まれているから小面憎くなる。この物語も久世版『吾輩は猫である』だけれども主に描かれるのは大正の作家、芥川龍之介。他にも菊池寛やたくさんの実在の文士たちのエピソードをからめながら、大正という時代、芥川という一人の天才、『吾輩は猫である』のパロディ、蘊蓄が楽しい。久世さんが亡くなり読む人が減っていくのがとても寂しいし、大正という時代が忘れ去られていくのもまた寂しい。2023/08/10
小谷野敦
2
久世はドゥマゴ文学賞、芸術選奨などをとったが、『蕭々館日録』は泉鏡花賞をとっている。この時の同時受賞者が笙野頼子である。この作は芥川龍之介の晩年を描いたものらしく、芥川を「九鬼」、菊池寛を「蒲池」とし、小島政次郎を「児島蕭々」として、その児島の五歳の娘である麗子の視点から描かれている。さて、アマゾンレビューに面白い批判があったので、引用する。 「この「あたし」なる本書の語り手の「女」はいったい何歳か?――なんとわずか5歳である。2024/01/13
KN
0
チコちゃんすごいな〜(笑) 奥さんの解説だけど、その表現は「狂う」ではなくてもっとかなりセクシュアルな部分で、それに拒否反応したんだろうなぁと 改めて今は絶滅しかかっていそうな文学なるものに打たれる 夏目漱石の「猫」もちゃんと読もう2024/05/05
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