角川文庫<br> 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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角川文庫
勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

  • 著者名:夏川草介【著者】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • KADOKAWA(2022/03発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041123461

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内容説明

月岡美琴は、松本市郊外にある梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂勝太郎と共に、膵癌を患い、妻子を遺して亡くなった長坂さんを看取り、誤嚥性肺炎で入院中だが「生大根の子糠漬けなら食べられる」という88歳の新村さんのために沢庵を切る(「秋海棠の咲く頃に」))。秋、循環器内科での研修が始まった桂は、肺炎の疑いで緊急搬送された92歳の女性に3時間延命する処置を下す。その判断は老人の延命治療に懐疑的な通称”死神”こと谷崎医師の教えに反していたが、それは連絡を受けた孫が駆けつけるまでの所要時間だった(「ダリア・ダイアリー」)。”口から物が食べられなくなったら、それが人間の寿命である。その常識を変えた夢の医療器具「胃瘻」”の登場、「できることは全部やってほしい」という患者の家族など、地域医療ならではの患者との関わり合いを通じて、月岡と桂は、老人医療とは何か、生きることと死んでいることの差はどこにあるのか、悩みながら進み続ける。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥

105
夏川氏の小説はいつも色々と考えさせられる。安曇野の民間病院に勤める若き研修医桂と中堅看護師の美琴。同じ医療小説でありながら「神様のカルテ」シリーズと異なるのは、高齢者医療をテーマとしていること。谷崎医師の言うように最早この国では経済的にも、人材的にも従来のように高齢者に対して手厚い医療は難しいのではないか?治る見込みがあるならともかく、数週間、数ヶ月の延命為に未来を背負う若い世代にこれ以上重荷を背負わせるのは正しい事なのか?静かに「看取る」と言う判断もこれからは必要ではないかと感じた。★★★★2022/04/04

となりのトウシロウ

93
神様のカルテシリーズと同じような設定の病院を舞台にした人間模様を描いた作品。地域の高齢者医療の前線における死がテーマになっている。超高齢者に対して病気を治す事が本当に幸せなのかといった重く、深く考えさせられる「死」。4つのお話それぞれに違った死が描かれている。直面する死、それに真摯に向き合う医師や看護師とその家族。そんな重くなりがちな話に彩りを添えるのが、主人公の若い男女、研修医の桂正太郎、3年目看護師で明朗快活な月岡美琴。それと季節の花と安曇野の美しい自然。重過ぎずに爽やかさを感じられる作品。2023/05/20

五右衛門

81
読了。相変わらず一気で読んでしまいました。とにかく好きなんですよ。この作家さんが描く世界が。長野が舞台で、実際に頑張っている研修医さんと新人看護師さんの物語。高齢者医療現場で考えることを止めてしまわず必死に悩む。二人とも結論が出なくても悩む。忙しいだけの無い日の中でも悩みながら突き進む。そんな医療者に私なら看取ってもらいたいです。この作品もシリーズ化出来ませんか。ちらッと一止さんも…繋がっているんですよね。今後も応援しています。とってもお忙しいでしょうがよろしくお願いいたします。2022/04/07

真理そら

72
アンソロジー『僕たちの月曜日』の「ダリア・ダイアリー」が好みだったので読んでみた。高齢社会での地方の医療の現実の厳しさを信州の四季折々の花々や景色の優しさとのバランスが良く静かな気持ちで読了。2023/09/20

TAKA

69
高齢者たちを、いかに生かすではなく、いかに死なせるかという。日本が抱える高齢者医療問題である。医療に携わる作者だからこそ書けるものだろう。解説にもあったけど「神様のカルテ」でもよかったんじゃないかな。そのうち桂先生と栗原先生のコラボもいいんじゃねえ。2023/08/07

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