内容説明
「この定理が証明できると何がうれしいの?」
「そもそも、なんでこんな概念を考えるの?」
数学書を読んでいて、このような疑問が浮かんできたことのある方も多いのではないでしょうか。
本書は、そんな難攻不落の数学書の読みかたを、現役の数学者がやさしく解説。
実際の数学書でよく目にする形の例文を通して、緻密かつ正確に読むための実践的な方法をレクチャーします。
◆こんな方へおすすめ◆
「独学で数学を勉強しているけど、きちんと読めているか不安」「どこを突っ込まれるかわからないので、輪講やセミナーで発表するのがおっくう」といった悩みをもっている、学生・エンジニア・社会人の方。
◆本書で紹介する「数学書を読む技術」◆
・誤解しやすい「~でない」「かつ」「または」「ならば」の正しい扱いかた
・定義や具体例を読む際のポイント
・全称や存在を含む命題の証明パターン
・「場合分け」「数学的帰納法」「背理法」が使われている証明を読む際のポイント
目次
第1部 基礎編
第1章 数学書はどのようなものか
第2章 数学語を身につける
第3章 数学書の読みかたの基本
第4章 全称と存在の議論を読みこなす
第2部 実践編
第5章 数学の文章を読みこなす:写像を題材として
第6章 さまざまな論法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
15
竹山先生は数学の勉強の仕方をネットで公開されていて、それを中心にまとめた書籍と思われる。数学の本、特に教科書は定義、定理の証明が淡々と続くので、小説を読む感覚ではついていけず、「何がいいたいの?」となかなか読みづらい印象だが、本書では大学に入ったばかりの人が、躓きそうになるポイントを細かいところまで指摘してあり、昔のチャート式みたいな受験参考書っぽい雰囲気が特徴。終盤に出てくる「ディリクレの定理」の式を見て、これは「実数を有理数で近似したいのかなぁ」と閃いたのだが、果たして、本書により蒙を啓かれたのか!2022/09/17
Bartleby
11
内容としては大学数学入門といったあたり。「数学語」は「日常語」とはちょっとズレていることまで丁寧に忠告してくれている。本書で力説されているのは、とにかく「定義」(+設定)を覚えようということ。それが何を定義しようとしているのか、という前提も。これは本当にそう。証明を読んでいて迷子になるときはだいたいこれ。内容が抽象的すぎるときは複数の類書にあたって「具体例」を見つけること。なるほど。これらもろもろを踏まえて、もう一度多様体についてのテキストに挑戦してみよう。2022/10/28
W.
7
久しぶりに学問としての数学に触れて楽しかった。内容が非常によく体系立てて整理されており、伏線回収のように、過去の定理を用いて新たな知識を得るところが数学の醍醐味だったのだと思い出した。2022/09/13
蠍
6
本当に丁寧に書かれており、数学書を読む時は行間をここまで追わなきゃいけないのかとためになった。2023/05/08
夜桜銀次
5
大学で使う数学書の読み方を解説した本。大学1年生、独学、趣味の人などに役立ちそう。 理系の人が「1行理解するのに数時間、数日かかることもある」というのも納得。 扱う例文もほぼ易→難になり、前に解説した定理を後ろで用いるなど、前から順にゆっくり丁寧に読めば、ディリクレの定理や超越数の話にたどり着く。 あとは、巻末の参考文献リストや挫折した数学書など、実践を積んでいこう。2023/11/04