内容説明
ここまで優れた作品を上梓した作者を、ただただ絶賛したい――。――書評家・細谷正充
理不尽と闘う2人の女意気に、思わず胸が熱くなる! ――書評家・吉田伸子
吉原遊郭を舞台に、女の生き様を描いた人生賛歌。
遊女に夫を寝取られ離縁したばかりの梅は、生家に戻って髪結いの母の手伝いを始める。
心の傷から、吉原で働く女たちと距離を置いていたが、当代一の美しさを誇る花魁の紀ノ川や、
寒村から売られてきた禿のタネと出会い、少しずつ生気を取り戻していった。
そんな中、紀ノ川の妊娠が発覚し――。
男と女の深い溝、母娘の複雑な関係、吉原で生きざるを得ない女たちのやるせなさ。
絶望の中でも逞しく生きていこうとする女たちを濃密に描く。
第1回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第2回細谷正充賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
47
離縁の傷と吉原の哀しみが美しく描かれていました。女性たちの逞しく生きようとする人間模様が刺さります。理不尽なことに対して反発するようにする様子が女性のあり方だったように思えました。2023/09/09
イシカミハサミ
10
髪結いと吉原の花魁の交流の物語。 気がうつろい、 時がうつろっても、 変わらないのが女の粋。 意地を捨てても、 守るものを間違えないのが女の粋。2022/05/28
まき
9
女髪結い梅の成長物語だけど、働く廓の遊女たちの哀しい人生も一緒に描き、女の矜持を見せつけられる。身籠った紀ノ川も夫を取った珠緒もある意味あっぱれですね。読後感は悪くなかったです。2023/07/07
デジ姫
9
登場人物の女性の心意気に胸打たれます。表紙イラストの花魁、目の錯覚か出っ歯にしか見えない。2022/04/21
withyuko
5
あとがきにこの物語は”女意気”の物語であると、書いてあるように、結婚したのに遊女に夫を取られ家を追い出されたヒロイン梅、花魁だったのに妊娠、出産したことから短い生涯を閉じようとする紀ノ川花魁、梅の母で髪結いの師匠でもあるアサ、それぞれの女性たちの、どんなに恵まれない境遇にあってもカッコよく生きていく、心意気が感じられたお話でした。2022/07/18