内容説明
京都で60年暮らす著者が送る、京都流コミュニケーションの入門書
はんなりしたイメージとは裏腹に、柔らかい言葉に強烈な皮肉を込めて話す「京」の人々。
そこには本能とも言うべき判断基準があり、優雅に、柔らかく、遠回しな言い方を選んで話している。
だから、言われたことをその通りに受け取ると、痛い目にあうことも多い。
そんな独特のコミュニケーションを60年以上観察し、また自ら辛酸を嘗めてもきた著者が「京都暮らしはじめてさん」のために、贈る京都流コミュニケーションの入門書。
これを読めば、旅行も生活も安心!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茜
57
本書は生粋の京都人が話す京言葉の解説書で用例やその言葉の持つ真の意味を理解する為のテキストです。だが、しかし京都の言葉を京都弁とは言ってはいけないらしい。あくまでも、それは「京言葉」であり京都弁ではないのだと言う。それを「京都弁」と呼ぶと京都人は、それこそ「気ィ悪うしまっせ」となるらしい。用例があるのでどういう場面で、その言葉が使われているのかが書いてあり分かり易くて面白かった。京都に旅する事があるのなら読んでおいて損はしない一冊です。悪いことはいいまへん、読んでみておくれやすw2022/04/18
だまし売りNo
20
最初の京ことばに「わたし、アホやさかい」を紹介する。これは自分がアホと謙遜しながら、こちらに理解できるように説明しない貴方が愚かであると遠回しに嫌味を言っている。本音は「どこにでもあるような与太話を長々と聞かされてエラい迷惑やった。またおんなじこと、しはるんやったら、相手せえしませんで」である(18頁)。本書の面白いところは、この言葉を営業のプレゼンテーションでの応答で使っていることである。要領を得ない長話の営業トークにはウンザリさせられる。2022/03/18
tsuckieno
3
「京ことば」は『複雑かつ被支配的な階層社会を生き抜く言語技術』を洗練させたものである。著者は、本書の冒頭、リップサービスひとつをとっても「その舞台が『京』となると話はまったく違ってくる」という。京民流意図明示コミュニケーション、すなわち「京ことば」は複雑かつ被支配的な階層社会を生き抜く言語技術を高度に洗練したものであり、発信者は受信者の心を誘導操作し、懐柔または韜晦をもって受信者は発信者の心を読もうとする。歴史上経験した様々な推測が想定する機能はすべて、京都ジンの言語生理的機能から発しているのである。2022/04/15