ちくま新書<br> パンデミック監視社会

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ちくま新書
パンデミック監視社会

  • ISBN:9784480074683

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内容説明

今回のパンデミックは、データ分析や機械学習が興隆する監視資本主義の時代に生じた、未曾有の事態である――。猛威をふるうウイルスに対処するため監視技術が広範に活用され、監視によるデータ収集や人々の行動追跡・制御は、ときに権威主義と共鳴しつつも、驚くほどスムーズに受け入れられていった。パンデミックは私たちの世界をどう変えたのか。「コロナ前」に戻ることは本当に可能なのか。監視研究の世界的権威が、新型コロナウイルスがもたらした真の脅威に迫る。

目次

第1章 決定的瞬間
すべての始まり
パンデミック監視とは何か
監視の意味と目的
監視資本主義というコンテクスト
『ペスト』との共通点
パンデミックの社会的側面
パンデミックとテクノソリューショニズム
ショック・ドクトリンという要因
本書の論旨
本書のロードマップ
第2章 感染症が監視を駆動する
接触者を突き止める
接触確認アプリ、位置追跡アプリ
官民のパートナーシップ
テクノロジー企業とのあるべき関係
変容する監視
接触確認システムは有効だったのか?
中央集権型の接触確認
分散型の接触確認
プラットフォーム企業の問題
不透明なシステム
ワクチンパスの登場
公衆衛生情報システム
監視の高まり
第3章 ターゲットは家庭
「ステイホーム、ステイセーフ」
増大する家庭内監視
「仕事場」のモニタリング
リモートワークにおける監視
「家庭内授業」のモニタリング
学生たちが直面する苦難
家庭でのオンラインショッピング
勝ち組となったアマゾン
現状の先にあるものは?
第4章 データはすべてを見るのか?
データの奔流を生きる
監視とデータ利用
フランケンシュタインのデータセット
疑わしい前提
ビッグデータの驕り
可視化される私たち
人々を特定のかたちで表現する
ブラックボックス社会
アルゴリズムによる選別
データが駆動する不正義
蔓延するデータ主義
第5章 不利益とトリアージ
社会的振り分けの手段
不利益の再生産
軽視されるリスク
感染リスクの不均衡
デジタル技術が助長する排除
くり返されるパターン
パンデミック監視と植民地主義
二層化する世界?
データ正義という視点
第6章 民主主義と権力
監視国家への懸念
見切り発車の構想
性急な監視技術の導入と混乱
監視資本主義、パンデミックの権力
民主主義の赤字
加速する監視資本主義
危機にさらされる市民的自由、人権、プライバシー
切り詰められる市民的権利
新たな課題
常態化する例外状態
「ミッション・クリープ」
試される民主主義
第7章 希望への扉
青白い騎士
暴露としての黙示録
台湾のストーリー
ブラジルのストーリー
黙示録を超えて
市民によるモニタリング
入り口としてのパンデミック
他者のための監視
信頼と正義
謝辞
原注
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

103
現在ほど個人が監視されている社会はない。テロや犯罪の多発で街角の監視カメラが増え続け、パンデミックで国家が公然と国民を監視する体制が受け入れられてしまった。こうした監視の強化は「人びとの安全を守るため」とされるが、知らないうちに自由や権利の放棄や不平等の容認に繋がる。またデータ収集を担う企業や機関が自己の利益に悪用する監視資本主義や、偉大な兄弟に見られていることを支持するとみなされてしまう。こうした状態を無批判に放置せず、正義と民主主義を守るにはどうすればよいのか。今ほど真剣に考えねばならない時代はない。2022/06/17

浅香山三郎

12
新型コロナウイルスによるパンデミックのもとで、監視社会はいかに進んだか。パンデミックが監視社会の深化を促し、人々もそれを求めた側面など、あのころに起きた諸現象を冷静に腑分けしてゆく。少し物足りないと感じる面もあるが、為政者の策謀のやうな論調に安易に話を向けていかない抑制的な筆致であるとも言へる。2024/08/15

大阪のきんちゃん2

9
返却期限到来のため途中まで、後半流し読み。 前著「監視社会」に引き続いてデータや機械学習が監視社会を形成する様を批判的に論じています。 コロナによるパンデミックが監視資本主義を飛躍的に助長しているという警告はおそらく正しいのでしょう。 しかし他の手立てがあるのかというと・・・? 「フランケンシュタインのデータセット」「民主主義の赤字」など気になるワードが満載! 希望への扉が開くのは、今の騒動が収まってからかも知れない(開かないかも知れないwww😨)。2022/07/15

Book shelf

3
日常的に使われているFBなどのデータが人々の行動を追跡するためにも使うことができるという危うさについて、コロナというパンデミックによって議論されることもなく、プラットフォーム企業と政府によって私物化されている問題をあぶり出す。注目すべきは監視のために編み出した特別な技術ではなく、既にある技術が人々の監視のために応用できるという点である。一度応用されればパンデミック収束後も監視を続ける可能性が懸念される。政府とプラットフォーム企業とがたやすく手を組みやすいという指摘はもう少し強くアピールしてもいいかも。2022/04/04

takao

2
ふむ2024/06/17

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