内容説明
世界はもはや右翼/左翼ではなく、狂気/正気に分断されている。保守主義や認知科学を動員した、新しい啓蒙思想。解説:宇野重規
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみあき
25
特に米国などでは「伝統保守」に対して「常識保守」と称される勢力の台頭と、彼らによる扇動政治によって、最早まともな議論が成り立たなくなっているが、これは民主主義諸国の世界的趨勢のようだ(一日本人としても心当たりがないわけじゃない)。もちろん、その前段には左翼による浅薄な理性攻撃があったわけで、現今のリベラルの劣勢には自業自得の側面もあるのだが。理性は文明社会の維持に不可欠である。啓蒙思想が誤ったのは、理性を個人主義的に考えすぎたことであり、これを修正するために、バークらの近代保守主義が利用できる、という話。2022/05/29
踊る猫
24
実に挑戦的な書物だ。とかく私たちは合理的/理性的に考えることを理想とする(からこそ、人間はそんなに理性的ではありえないと居直る御仁も現れる)。だが、啓蒙思想とそれを批判した保守主義の歴史を引き、それだけではなく生物学的な見地からも人間存在にアプローチし、とにかく「人間の非合理性(平たく言えば『軟弱さ』)」を丸裸にする試みがここでは展開される。そしてだからこそ、その弱さを踏まえて啓蒙思想に新たな可能性を見出す試みが行われる(過去を学び直し更新するからこその「2.0」だろう)。力作で、再読するべき本と思った2022/05/04
塩崎ツトム
18
人間も服を剥がせば二足歩行するサルにすぎないわけで、理性を使うというのはかなりのコストではあるけど、我々は理性を使うコストを、あまりにも外部の(テレビやSNS、そしてなにより広告代理店!)メフィストフェレスに肩代わりさせすぎたのではないか? 子供の運動不足を憂いているだけじゃなくて、大人の理性不足もよほど問題だけど、感覚に流されるって、エントロピー的に超らくちんなんだよねえ。2022/07/24
jackbdc
12
序盤は直感的な保守政治への批判、中盤は独善的なリベラル政治への批判で中立的な立場から、人間の弱さ愚かさを織り込んだ認知環境を確保すべしと提言する。今のままではダメという主張には賛同するが具体的には?と疑問が残る。日本に当て嵌めると、例えば熟議の場を制度化するという論点がある。従来型の市民会議導入が一つの解だが現実性を高めるためにはICTを用いて熟議型世論調査プラットフォームや価値観マッチング等を導入し時間をかけずに自分事化出来る環境を整える事が望まれる。またブロックチェーン的を用いて透明性も確保したいな。2026/02/18
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10
「合理性が高度な足場によっており、この足場が外的かつ社会的であることを認めれば、理性は一種の社会的事業だと考えられるようになる。」/個人の理性に立脚した従来の啓蒙思想に対し、著者は保守主義による批判・行動経済学の知見を踏まえた「新しい啓蒙思想」を提唱する。それは合理性を社会の合意や組織構造に依存したものとして捉え、スローポリティクスやナッジを重視して社会の改善を図るものである。/啓蒙主義批判から始まって「クルージ」や「心の有害ソフト」など興味深い論点が目白押しで、これからの社会を考える上で有用な一冊。2022/05/19
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- 週刊エコノミスト2014年9/23号




