アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話

個数:1
紙書籍版価格
¥2,310
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話

  • ISBN:9784309300160

ファイル: /

内容説明

アダム・スミスが研究に勤しむ間、身の周りの世話をしたのは誰!? 女性不在で欠陥だらけの経済神話を終わらせ、新たな社会を志向する21世紀の経済本。20カ国で翻訳、アトウッド絶賛。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

163
確かに、家事が生産労働から除外され、経済学の中で女性が正当に評価されていないことを訴える著者のジェンダー論は、当を得ているとは思う。しかし、私はそれ以上に、ホモ・エコノミクスを前提とし、恣意的に歪められた競争原理で市場を操る新自由主義に対する著者の懐疑に、強い共感を覚えた。確かに、アダム・スミスは、利己心や自由放任主義の経済学の祖ではあるが、一方で「道徳感情論」で愛や共感に思いを巡らせた倫理学者でもある。夕食を作り続けてくれたお母様の愛情の深さを計量できるほど、経済学というものが万能だとは思いたくない。2022/02/26

パトラッシュ

159
ソ連崩壊直後のロシアは戦後日本と変わらぬ敗残国だった。モスクワの街角に立って持ち物を売っているのは女性ばかりで、夜のホテルには娼婦からの電話が何本もかかってきた。失われたプライドを嘆き悲しみ泥酔する男をよそに、逞しく現実を生きる女がロシアを支えていた。彼女たちの働きは、ロシア経済を考える上で勘定に入れられていない。マルクスもケインズも、そしてアダム・スミスも自分の経済学を構築する際に女性の家事やケア労働を無意識に無視した。しかし女性を視界に入れない経済学や経済政策は、必然的に失敗するのだと本書は警告する。2022/08/01

KAZOO

125
かなり評判になっているので読んでみました。表題からは女性の話しであるということがわかります。過去の経済的な事象で、女性がもう少し活躍していたらどうなるのか、というような感じでいわゆる女性の活躍の場をもう少し社会において与えていってもいいのではないかということに尽きるのでしょう。確かにフェミニズムということからするとそのような議論が出てきてもおかしくはない時代になっています。ただ世界的にはそうであっても日本の現実を見ると…、という感じは残ります。2023/07/23

ばたやん@かみがた

124
《耳を澄ませれば聴こえる調和の旋律》正直、首を捻る所がないではない。例えば、ミルトン・フリードマンを新自由主義の権化呼ばわりして、あたかも格差社会招いた張本人の様な扱いをしている所などです。しかし、そんな逸る心を抑えてじっと著者の主張(意図的でしょうが、詩的な表現も多用されており理解のため立ち止まることも要求されます)に耳を澄ませることで、ある旋律が聴こえて来るのです。それは、今ある経済学や資本主義を廃棄せよなどと言う破壊的なものでは決してない。(1/4)2022/04/10

ルピナスさん

72
「アダム・スミスって馬鹿だな。全部母親にやってもらっていたんだろ」と夫は笑うけれど、私も男性と女性の役割や身体能力が異なるとして、女性であるための足し算引き算を当然と受け入れながら、何年も悶々と悩み続けた1人。「弱みを恐れ、自然を恐れ、感情を恐れる。依存を恐れ、循環を恐れ、理解できないもの全てを恐れる」こういった事を女性的と遠ざけてしまう世の中は終わりにしたいと思うので、今日もフェミニズム的本を手に取り子供達と語り合う。男性だって呪縛から解放されたい想いは同じだろう。本書の内容が耳に痛い人ほど読んで欲しい2023/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18683487
  • ご注意事項