岩波ジュニア新書<br> 地域学をはじめよう

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岩波ジュニア新書
地域学をはじめよう

  • 著者名:山下祐介
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 岩波書店(2022/03発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 225pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005009275

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内容説明

「自分の育った地域なんてたいしたことないですよ」と言い捨ててしまう若者は多い.本当にそうなのだろうか? どの地域にも固有の歴史や文化があり,人々の営みがある.それらを知っていくことで,自分や社会,そして未来が見えてくると著者は説く.調査実習の手法や体験をふまえ,時間と空間を往来しながら,地域学の魅力を伝える.

目次

1 地域を見出そう 国とのつながり┴◆1 大都市郊外に息づく地域┴大都市郊外ニュータウンに地域はある?/もはや今時、地域なんていらない?/団地の裏側にある村々/五〇年前に起きた地域をめぐる大きな変化┴◆2 地域はあまねく存在する┴たとえ見えなくても、みな地域に関わって生きている/地方自治体という地域/参加が地域をつくっている┴◆3 地域とは何だろうか ①分割して統治する┴国と地域の深い関係/廃藩置県と都道府県/具体的な暮らしに関わる市区町村/地域の最小単位としての自然村/由木村の地域編成/なぜ分割する必要があるのだろうか?┴◆4 地域とは何だろうか ②自治の単位、生命の単位┴地域は自治の単位である/生き物としての地域/生きているものを取り扱う/社会有機体としての国家と地域┴◆5 都市について┴都市の生態学的定義/都市の結節機関説/つながりの中で営まれる国家/地域はなぜ見えなくなったのか?┴2 水を見よう、道をたどろう 空間のつながり┴◆1 弥生水田から田舎館城、そして田んぼアートまで 田舎館村の地域学┴古代米で描く田んぼアート/北の弥生水田跡・垂柳遺跡/水路の水はどこから来るのか?/田舎館城と津軽統一/津軽平野の稲作集落┴◆2 水の流れに沿って 岩木川がつなぐ山村と都市┴水と水田開発、都市の暮らし/岩木川の歴史と地域/ダムに消えた白神山村/ある商店の事例/地域のつながりを探ろう┴◆3 道がつなぐ村、町、都市、国┴川原平から弘前までの道と村々/道からたどる村と町/甲州街道と宿場町/八王子の宿と町を歩く/桑都・八王子と絹の道/道の移り変わりと地域/交通の高速化が地域のかたちを変える┴◆4 生きている地域とその変化┴水系もまた見えなくなった/地域の持続可能性とは?┴3 家、村、町、都市 時間のつながり┴◆1 限界集落が生き残っているわけ┴消えゆく集落のイメージ/村はしぶとい/限界集落が生き続ける理由/高齢者と家族をつなぐ絆┴◆2 地域の構成単位は家である┴村は家でできている/川原平村の家々/地域を構成する最小単位は家┴◆3 都市も家でできている┴一代で巨大地主となった布嘉家はその富を何に使ったか?/大地主から自動車ディーラーへ/家としての会社/家が地域をつくり、地域が家をつくる┴◆4 家・村・町・都市の脈動とそのゆくえ┴地域の変化と仕事の変化/津軽の農山漁村、町場の調査から/地域に固有の仕事が失われていく/弘前市の調査から/都市の拡大と生業の変容/実は郊外にも「家」が/生きている地域、生き続ける地域┴◆5 地域に探る歴史の年輪┴列島の歴史を現在の地域に見出す┴縄文遺跡から中世城館へ/青森湊の近世から近代/青森市街地の拡大発展過程/現代の地域と未来への時間┴◆6 近代化の中の地域学┴近代化がもたらす新たな時空/この五〇年間に起きたこと/グローバル化を生きぬく作法としての地域学┴4 地域学をはじめよう┴◆1 地域学をはじめる前に┴対象とする地域をしぼり、テーマを決めよう/日本の地域の複雑な重層性/都道府県の選択から┴◆2 対象とする地域を見出す ①地図を使って地域空間を理解する┴地図を集め、広げる/市町村の配置/人口の分布/地形(河川など)/交通施設┴◆3 対象とする地域を見出す ②機関・施設・歴史情報を把握する┴公共機関・施設の配置/神社と寺/文化財等の歴史情報/江戸時代の城と城下町┴◆4 対象とする地域を見出す ③市町村を取り上げてさらに調べる┴明治期の市町村にさかのぼる/地域住民組織を確認する/地図や空中写真で集落を確認する/町丁名と大字・小字/神社と寺、歴史情報、人口と世帯数/地形と交通の中に位置づける┴◆5 資料にあたり、テーマを探る┴図書館で文献を探す/資料の中からテーマを見つける/地域学に役立つ本、および地方紙について/行政資料センターを利用する/博物館(郷土館・資料館)を活用する/次につなげる、記録をつける、観察する┴◆6 年表をつくり、時間を把握する┴文献を調べ、年表を作成しよう/弘前・津軽調査での年表分析の例/地域にあふれる豊富な情報をきちんとつかもう┴◆7 歩く、見る、聞く、そしてまとめる┴歩いてみる、見てみる/聞いてみる/現地調査と資料調べ、分析、考察の循環をつくる/そして、まとめていく

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コニコ@共楽

16
地理学でしたら聞いたことがありますが、地域学という言葉ははじめて聞きました。著者山下祐介さんはこの50年で「地域」が形成されなくなって人の生命力が急速に失ってきていることを危惧しています。“生きていることを正しく理解し、地域をふつうに認識できるようになれば、その生命はまた新しく輝きはじめ、新たな息吹を取り戻すはずだ”と力説しています。地域を知ることは人々の営みという歴史と、自然の営みを知ること感じました。2021/01/29

Hachi_bee

9
流石ジュニア新書。中高生年代に読ませ、実践させたい。自分自身だって、リタイア後にやってみたくなる。シルバー世代に地域のことを研究する方が多く見られるのも納得。 2章3章は事例集だけれど、1章で地域学とは何かの概論を述べ、4章で地域学を始めるに当たっての心構え等を述べている。自分にあったところを読み込めばいいのだろうけれど、僕の場合は、1章4章の別刷りがあったらいいなって思いました。2021/01/04

Tomonori Yonezawa

3
【県立図書館】2020.12.18第1刷▼4章233頁。地域を見出す、水を見よう道を辿ろう、家村町都市-時間軸、地域学。▼タイトルから取組中のネタ仕込みに使えるか?と借りたが、少し趣が違った。▼青森県田舎館村周辺を題材に。次は岩木川に連なる地域。他にも著者は弘前大学に勤務していたことがあり、青森県が舞台になること多し。何か別なことに使えそうだな。▼本の中頃に、著者の社会に対する諦観のような文章がある。分野違いは居酒屋が似合うのだがヒントを一つ、「40年もの国債」は40年後、40年間税収のあった日本が返す。2021/08/29

サディ

1
あたりまえに暮らすまちの歴史を知ることで魅力的な「まち」になる。 ではまちを知るというというのが、地元学である。学問である以上、どのように地域とはそもそもどのような成り立ちでできて、どのように暮らしが営まれたかを知ることである。地域を選び、文献でまちの歴史を知り、地図を見る。時にはバス路線や川の流れを調べる。そしてそこに住む人に聞き取りをする。 ジュニアブックということもあって平易に書かれているが、内容は大学レベルだろう。2023/10/03

Daimon

1
「今、僕らに必要なことはだから、僕らの社会/国家がもつ生命力を、この先もしっかりと維持することにほかならない。以前と同じようにこれからも、一人一人の人間が、家や地域や会社や学校などそれぞれが所属する集団の中で、この国にとって、そして世代にとって必要なことを適切に考え、具体的に行動し、秩序正しく生きることである。」(p.156) なかなか恐ろしいことが述べられている…2021/06/07

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